株主総会決議取消請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/平成25年(受)第650号
【判決日付】 平成27年2月19日
【判示事項】 1 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま権利が行使された場合における同条ただし書の株式会社の同意の効果
2 共有に属する株式についての議決権の行使の決定方法
【判決要旨】 1 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において,当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは,株式会社が同条ただし書の同意をしても,当該権利の行使は,適法となるものではない。
2 共有に属する株式についての議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為として,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決せられる。
【参照条文】 民法264
会社法106
会社法105-1
民法251
民法252
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集69巻1号25頁
裁判所時報1622号35頁
判例タイムズ1414号147頁
会社法
(共有者による権利の行使)
第百六条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。 ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
本判決は,先ず,会社法106条本文に関して,共有に属する株式の権利の行使の方法について,民法の共有に関する規定に対する「特別の定め」(民法264条ただし書)が設けられたものと解し,同条ただし書は,共有に属する株式の権利の行使の方法に関する特別の定めである同条本文の規定の適用が排除されることを定めたものであるから,株式会社が同条ただし書の同意をしても,当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従うことが,なお必要であるという立場を明確にした。