目次
第1章 1 国または地方公共団体がもっぱら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の履行を求める訴訟は、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)ではない。
2 地方公共団体が建築工事の中止命令の名あて人に対して同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴えが不適法とされた事例
第2章 1 先行処分庁の行政処分を執行する後行処分庁の執行停止の相手方適格
2 行政事件訴訟法25条2項(執行の停止)に規定する「回復困難な損害」の意義
3 行政事件訴訟法25条3項に規定する「本案について理由がないとみえるとき」の疎明責任
4 高速道路建設予定地等に対する明渡裁決の執行停止要件を具体的に検討した事例
5 事業認定の瑕疵が収用裁決の取消事由となる場合
6 明渡裁決に基づく代執行手続の執行停止を認めなかった事例
第3章 1、第三者が占有している法令違反の建築物を行政代執行法に基づいて除却する場合と右占有者に対する土地区画整理法77条7項準用の有無(積極)
2、右の場合において、建物所有者に対する行政代執行手続により第三者の占有をも排除することの可否(積極)
第4章 収用土地と収容土地外にまたがって建築されている建物全部を、解体撤去した代執行が適法とされた事例
第5章 行政代執行の裁量権
第1節 国鉄新幹線沿いのビル撤去の行政代執行に裁量権の濫用がないとされた事例
第2節 建築基準法所定の建築確認を得ることなく、かつ、建ぺい率を超過して建築され、隣家の日照、通風を阻害している建物に対し、知事が除却命令を発して行政代執行をする措置を執らなかったことに違法はないとした事例
第3節 4、河川上家屋の居住者に対し原状回復命令を発しまたはその代執行をしなかったことが、河川管理者の裁量権の行使につき濫用または逸脱の瑕疵があったとはいえないとされた事例
第6章 1 保全命令申立の被保全権利として主張された将来の事務管理に基づく費用賠償請求権が、その請求権の基礎をなす事実関係および法律関係が既に存在するとはいえないとされた事例
2 廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)19条の8に規定する、県知事による産業廃棄物除去の措置命令に従わないときに自らする除去の措置に要した費用の行政上の強制徴収法と民事手続上の救済手段との関係