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新着情報
2022年10月12日
退職合意の取消・無効

民法94条、心裡留保、無効

 

民法95条、錯誤、取消(平成29年改正前は無効)

 

民法96条、詐欺、取消

 

 

退職金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成25年(受)第2595号

【判決日付】      平成28年2月19日

【判示事項】      1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無についての判断の方法

             2 合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断に違法があるとされた事例

【判決要旨】      1 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容および程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯およびその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供または説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきである。

             2 合併により消滅する信用協同組合の職員が、合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において、その変更は上記組合の経営破綻を回避するための上記合併に際して行われたものであったが、上記変更後の支給基準の内容は、退職金総額を従前の2分の1以下とした上で厚生年金制度に基づく加算年金の現価相当額等を控除するというものであって、自己都合退職の場合には支給される退職金額が0円となる可能性が高かったことなど判示の事情のもとで、当該職員に対する情報提供や説明の内容等についての十分な認定、考慮をしていないなど、上記署名押印が当該職員の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から審理を尽くすことなく、上記署名押印をもって上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断には、違法がある。

【参照条文】      労働基準法2-1

             労働契約法3-1

             労働契約法8

             労働契約法9

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集70巻2号123頁

             裁判所時報1646号57頁

             判例タイムズ1428号16頁

             金融・商事判例1505号8頁

             判例時報2313号119頁

             金融法務事情2058号72頁

             労働判例1136号6頁

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