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2022年10月14日
証券取引における適合性原則違反と不法行為の成否

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成15年(受)第1284号

【判決日付】      平成17年7月14日

【判示事項】      1 証券取引における適合性原則違反と不法行為の成否

             2 証券会社の担当者による株価指数オプションの売り取引の勧誘が適合性原則から著しく逸脱するものであったとはいえないとして不法行為の成立が否定された事例

【判決要旨】      1 証券会社の担当者が,顧客の意向と実情に反して,明らかに過大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど,適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは,当該行為は不法行為法上も違法となる。

             2 証券会社甲の担当者が顧客である株式会社乙に対し株価指数オプションの売り取引を勧誘してこれを行わせた場合において,当該株価指数オプションは証券取引所の上場商品として広く投資者が取引に参加することを予定するものであったこと,乙は20億円以上の資金を有しその相当部分を積極的に投資運用する方針を有していたこと,乙の資金連用業務を担当する専務取締役らは,株価指数オプション取引を行う前から,信用取引,先物取引等の証券取引を毎年数百億円規模で行い,証券取引に関する経験と知識を蓄積していたこと,乙は,株価指数オプションの売り取引を始めた際,その損失が一定額を超えたらこれをやめるという方針を立て,実際にもその方針に従って取引を終了させるなどして自律的なリスク管理を行っていたことなど判示の事情の下においては,オプションの売り取引は損失が無限大又はそれに近いものとなる可能性がある極めてリスクの高い取引類型であることを考慮しても,甲の担当者による上記勧誘行為は,適合性の原則から著しく逸脱するものであったとはいえず,甲の不法行為責任を認めることはできない。

             (2につき補足意見がある。)

【参照条文】      民法709

             証券取引法43

             証券取引法(平10法107号改正前)54-1

             証券会社の健全性の準則等に関する省令(昭40大蔵省令60号)8

             証券取引法2-22

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集59巻6号1323頁

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