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2022年10月16日
簡易生命保険契約の保険金受取人が無断で保険金等の支払を受けた者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する場合において上記の者が損害の発生を否認して請求を争うことが信義誠実の原則に反し許されないとされた事例

簡易生命保険契約の保険金受取人が無断で保険金等の支払を受けた者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する場合において上記の者が損害の発生を否認して請求を争うことが信義誠実の原則に反し許されないとされた事例

 

損害賠償,中間確認請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(受)第216号

【判決日付】      平成23年2月18日

【判示事項】      簡易生命保険契約の保険金受取人が無断で保険金等の支払を受けた者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する場合において上記の者が損害の発生を否認して請求を争うことが信義誠実の原則に反し許されないとされた事例

【判決要旨】      簡易生命保険契約の保険金受取人であるXが、無断で保険金等の支払を受けたY1およびY2に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する場合において、次の①、②など判示の事情のもとでは、上記支払が有効な弁済とはならず、Xが依然として上記保険金等の支払請求権を有しているとしても、Y1およびY2がXに損害が発生したことを否認してXの損害賠償請求を争うことは、信義誠実の原則に反し許されない。

             ① Y1およびY2は、郵記保険金等の支払請求権がXに帰属する旨の説明を受けていながら、Xに無断で、X名義の支払請求書兼受領証を作成するなどして、支払請求手続を執った。

             ② Y1およびY2が上記保険金等の支払を受けた後、Xは、日本郵政公社に上記保険金等の支払を請求したが拒絶された。

【参照条文】      民法1-2

             民法478

             民法709

             民法719

             民事訴訟法2

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事236号147頁

             判例タイムズ1344号105頁

             金融・商事判例1366号31頁

             金融・商事判例1363号16頁

             判例時報2109号50頁

             金融法務事情1938号108頁

 

 

民法

第一編 総則

第一章 通則

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

(解釈の基準)

第二条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。

 

 

第三編 債権

第一章 総則

 

第六節 債権の消滅

第一款 弁済

第一目 総則(第四百七十三条―第四百九十三条)

 

第一款 弁済

第一目 総則

(弁済)

第四百七十三条 債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。

 

(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)

第四百七十八条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

(受領権者以外の者に対する弁済)

第四百七十九条 前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。

第四百八十条 削除

 

第五章 不法行為

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

(近親者に対する損害の賠償)

第七百十一条 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

 

(共同不法行為者の責任)

第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

2 行為者を教唆した者及び幇ほう助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

 

 

民事訴訟法

平成八年法律第百九号

(裁判所及び当事者の責務)

第二条 裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。

 

 

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