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2022年12月09日
労災保険法上の労働者に該当するか否かの判断基準

労災保険法上の労働者に該当するか否かの判断基準

 

 

労基法における「労働者性」の判断基準

(東京大学研究会)

従属性の有無

指揮監督下

仕事の依頼

業務従事の諾否の自由

業務遂行上の指揮監督の有無

場所的拘束の有無

時間的拘束の有無

代替性の有無

専属

 

事業性の有無

機械、器具の負担、所有

報酬の額

 

など

 

 

最高裁判例法理によれば、労働基準法9条の「労働者」と、労働者災害補償保険法の「労働者」は、同義とされている。

 

労災保険法上の労働者に該当するか否かの判断基準について,最高裁は,横浜南労基署長(旭紙業)事件(最一小判平8.11.28労判714号14頁)において,自己所有の車両を持ち込み,他の会社の運送業務に従事していた,いわゆる傭車運転手につき,同会社の指揮監督下に労務の提供を行っているとはいえないとして,労基法上の労働者にも労災保険法上の労働者にも該当しないと判断したうえで,療養補償給付等不支給処分取消請求を棄却した。

 

最高裁は,関西医科大学研修医(未払賃金)事件(最二小判平17.6.3労判893号14頁)において,医科大学附属病院とそこに勤務する研修医との関係につき,同研修医が医療行為等に従事する場合には,これらの行為等は病院の開設者のための労務の遂行という側面を不可避的に有することになるのであり,病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り,同研修医は労基法9条の労働者に当たると判断している。

 

作業場を持たずに1人で工務店の大工仕事に従事する形態で稼働していた大工が労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらないとされた事例(最高裁平成19年6月28日、訟務月報54巻9号2054頁、最高裁判所裁判集民事224号701

 

 

 

 下級審では,相模原労基署長(一人親方)事件(横浜地判平7.7.20労判698号73頁)において,家屋新築工事を請け負った者から依頼を受けて建前作業に従事していた,いわゆる一人親方につき,指揮監督関係の存否および内容,時間的・場所的拘束性の有無および程度,業務用機材の負担関係,報酬の支払条件および方法,仕事の依頼・業務従事の指示に対する諾否の自由の有無等,諸般の事情を総合的に考慮して,その実態が使用従属関係の下における労務の提供とそれに対する対価の支払いと評価し得るか否かによって判断した結果,労災保険法上の労働者には当たらないとして,休業補償給付不支給処分取消請求が棄却された(確定)。さらに,川口労基署長事件(浦和地判平10.3.30労判未掲載,訟務月報45巻3号503頁)では,手間請け従事者である一人親方の大工につき,仕事の依頼に対する諾否の自由があること,業務上指揮監督を受けないことなどの事情を総合判断した結果,労働者性が否定されて,療養補償給付等不支給処分取消請求が棄却された(確定)。

 他方,新宿労基署長(映画撮影技師)事件(東京高判平14.7.11労判832号13頁)では,フリーの映画撮影技師につき,同人は監督の指示に従う義務があること,報酬も労務提供期間を基準にして算定して支払われていること,個々の仕事について諾否の自由が制約されていること,時間的・場所的拘束性が高いこと,労務提供の代替性がないこと,撮影機材はほとんどプロダクションのものであること,プロダクションが同人の報酬を労災保険料の算定基礎としたこと等を総合考慮した結果,同人は,労基法上の労働者に当たり,労災保険法上の労働者に該当するとして,同人の労働者性を否定した一審判決(東京地判平13.1.25労判802号10頁)が取り消され,遺族補償不支給処分が取り消された(確定)。

 

 

 

労働基準法

昭和二十二年法律第四十九号

 

(定義)

第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

 

 

労働者災害補償保険法

昭和二十二年法律第五十号

 

第三章 保険給付

第一節 通則

第七条1項 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

一 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

二 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。以下同じ。)の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)に関する保険給付(前号に掲げるものを除く。以下同じ。)

(後略)

 

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