開業準備行為の商行為性
貸金請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和46年(オ)第492号
【判決日付】 昭和47年2月24日
【判示事項】 1、開業準備行為の商行為性
2、営業の開始を目的とする金銭の借入れに商行為性が認められる場合
【判決要旨】 1、開業準備行為が商行為となるためには、それが客観的にみて開業準備行為と認められうるものであることを要し、単に金銭を借り入れるごとき行為は、特段の事情のないかぎり、これを商行為とすることはできない。
2、営業を開始する目的をもってする単なる金銭の借入れも、取引の相手方がその事情を知悉している場合には、これを附属的商行為と認めるのが相当である。
【参照条文】 商法4-1
商法503-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集26巻1号172頁
開業準備行為とは
会社の営業行為を準備する行為
具体例
財産引受、会社法28条2号
営業事務所の賃借、
成立後の会社の従業員の雇い入れ
会社の広告・宣伝
平成十七年法律第八十六号
会社法
第二十八条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。
一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
三 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
四 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)
第二十九条 第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
明治三十二年法律第四十八号
商法
(別冊)
目次
第一編 総則
第一章 通則(第一条―第三条)
第二章 商人(第四条―第七条)
第三章 商業登記(第八条―第十条)
第四章 商号(第十一条―第十八条の二)
第五章 商業帳簿(第十九条)
第六章 商業使用人(第二十条―第二十六条)
第七章 代理商(第二十七条―第五百条)
第二編 商行為
第一章 総則
(絶対的商行為)
第五百一条 次に掲げる行為は、商行為とする。
一 利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為
二 他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為
三 取引所においてする取引
四 手形その他の商業証券に関する行為
(営業的商行為)
第五百二条 次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない。
一 賃貸する意思をもってする動産若しくは不動産の有償取得若しくは賃借又はその取得し若しくは賃借したものの賃貸を目的とする行為
二 他人のためにする製造又は加工に関する行為
三 電気又はガスの供給に関する行為
四 運送に関する行為
五 作業又は労務の請負
六 出版、印刷又は撮影に関する行為
七 客の来集を目的とする場屋における取引
八 両替その他の銀行取引
九 保険
十 寄託の引受け
十一 仲立ち又は取次ぎに関する行為
十二 商行為の代理の引受け
十三 信託の引受け
(附属的商行為)
第五百三条 商人がその営業のためにする行為は、商行為とする。
2 商人の行為は、その営業のためにするものと推定する。