種類債権の特定とは
種類債権とは,その目的物が種類のみによって指定された債権のことをいいます。
具体的にいえば,一定の種類の物の一定量を給付するべきことを内容とする債権のことです。
種類債権は,不特定物債権と呼ばれることもあります(ただし,種類債権と不特定物債権とを別のものとして扱う見解もあります。
特定の物をもって種類債権の目的物とするに至ることを「種類債権の特定(または種類債権の集中)」といいます(民法401条2項)。
種類債権は,債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了した場合か,債権者の同意を得てその給付すべき物を指定した場合に特定されます。
ただし,特約で別の特定方法を定めることも可能です。
種類債権も特定された以降は,特定物債権と同様に,その特定された種類物を引渡さなければならなくなります。
特定の方法
債権者と債務者の合意
債務者の行為による特定(民法401条2項前段)
債権者・債務者・第三者のいずれかの同意による指定(同条項後段)
第三編 債権
第一章 総則
第一節 債権の目的
(債権の目的)
第三百九十九条 債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第四百条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
(種類債権)
第四百一条 債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。
2 前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とする。
(金銭債権)
第四百二条 債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。