有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義
爆発物取締罰則違反,殺人未遂被告事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷決定/平成19年(あ)第398号
【判決日付】 平成19年10月16日
【判示事項】 1 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義
2 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義は,直接証拠によって事実認定をすべき場合と情況証拠によって事実認定をすべき場合とで異なるか
【判決要旨】 1 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」というのは,反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても,健全な社会常識に照らしてその疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には有罪認定を可能とする趣旨である。
2 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義は,直接証拠によって事実認定をすべき場合と情況証拠によって事実認定をすべき場合とで異ならない。
【参照条文】 刑事訴訟法317
刑事訴訟法318
刑事訴訟法333-1
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集61巻7号677頁
裁判所時報1446号358頁
判例タイムズ1253号118頁
判例時報1988号159頁
LLI/DB 判例秘書登載
昭和二十三年法律第百三十一号
刑事訴訟法
第四節 証拠
第三百十七条 事実の認定は、証拠による。
第三百十八条 証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。
第五節 公判の裁判
第三百三十三条 被告事件について犯罪の証明があつたときは、第三百三十四条の場合を除いては、判決で刑の言渡をしなければならない。
② 刑の執行猶予は、刑の言渡しと同時に、判決でその言渡しをしなければならない。猶予の期間中保護観察に付する場合も、同様とする。
第三百三十四条 被告事件について刑を免除するときは、判決でその旨の言渡をしなければならない。