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2022年12月10日
交通立ち番というパワーハラスメント事案~学校法人明泉学園(S高校)事件


交通立ち番というパワーハラスメント事案~学校法人明泉学園(S高校)事件

テーマ:労働法
東京高等裁判所判決平成25年6月27日

学校法人明泉学園(S高校)事件

損害賠償等請求控訴事件

【判示事項】 1 原判決は,交通立ち番について,必要性および合理性の判断に誤りがあるとの控訴人Yらの主張につき,S高校においては,平日の授業時間帯にも交通立ち番が実施されていたこと,授業終了後の交通立ち番は,生徒の多くは通学路にいない状況での立ち番となっていたこと,年度の授業がすべて終了した生徒自宅学習期間や土曜日などの不登校日にも交通立ち番が実施されていたことなど,S高校のマナー指導の効果,効率には,その態様からして大きな疑問がある一方で,それに従事する教員にとっての精神的,肉体的な疲労に加え,他の業務への支障などが伴うものであったことからすると,交通立ち番には,マナー指導の点で,その相当性も含めて,必要性および合理性には大いに疑問があるといわざるを得ず,痴漢等の防止についても交通立ち番の必要性および合理性は認められないとして,控訴人らの主張が棄却され,1審判断が維持された例

2 原判決の慰謝料等の認定は高額にすぎるとのYらの主張につき,被控訴人Xらに賃金が支払われていたとしても,Yらの共同不法行為の違法性の程度は著しいものというべきであり,Xらが違法な本件立ち番の指示により余儀なくされた立ち番の従事回数ないし時間,クラス担任,部活動顧問等などにかかるXらについての処遇その他一切の事情を考慮すると相当な額であるとして,Yらの主張が棄却され,1審判断が維持された例

 1審判決は,控訴人らによる本件立ち番指示は,被控訴人らの教師としての誇り,名誉,情熱を大きく傷つけるとともに,組合員である被控訴人らを不利益に取り扱い,かつ,被控訴人らの団結権及び組合活動を侵害する違法なものであるとして,共同不法行為に基づき,被控訴人らの請求を,慰謝料等27万円から160万円まで(合計1227万円)及びこれらに対する平成22年2月10日から支払済みまでいずれも年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容した。控訴人らは,これを不服として控訴した。

【掲載誌】  労働判例1077号81頁

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