GPS捜査事件
テーマ:刑事訴訟法,刑事裁判
窃盗,建造物侵入,傷害被告事件
【事件番号】 最高裁判所大法廷判決/平成28年(あ)第442号
【判決日付】 平成29年3月15日
【判示事項】 車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は令状がなければ行うことができない強制の処分か
【判決要旨】 車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であり,令状がなければ行うことができない強制の処分である。
【参照条文】 憲法35
刑事訴訟法197-1
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集71巻3号13頁
裁判所時報1672号87頁
判例タイムズ1437号78頁
判例時報2333号4頁
【判決要旨】
「前記のとおり,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は,個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして,刑訴法上,特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たる(最高裁昭和50年(あ)第146号同51年3月16日第三小法廷決定・刑集30巻2号187頁参照)とともに,一般的には,現行犯人逮捕等の令状を要しないものとされている処分と同視すべき事情があると認めるのも困難であるから,令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。」