東京都・杉並区・住基ネット訴訟
住基ネット受信義務確認等請求控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/平成18年(行コ)第119号
【判決日付】 平成19年11月29日
【判示事項】 非通知希望者に係る本人確認情報を東京都に送信したとしても,これをもって違法であり,憲法13条に違反するということはできないから,住基法30条の5第1項に従い,すべての区民に係る本人確認情報を東京都に送信する義務があるとした事例
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
主 文
1 本件控訴及び控訴人の当審における追加請求をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人東京都は,当該情報を被控訴人東京都へ通知することを受諾した杉並区の住民に係る住民基本台帳法(平成11年法律第133号による改正後のもの。以下「住基法」という。)30条の5第1項所定の本人確認情報(以下「本人確認情報」という。)を,控訴人が被控訴人東京都に対して住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)を通じて送信する場合,これを受信する義務を有することを確認する。
3 被控訴人らは,控訴人に対し,各自1億0106万9421円並びに内金4476万9677円に対する平成16年9月17日から,内金5629万9744円に対する,被控訴人国につき平成18年6月3日から,被控訴人東京都につき同月6日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。
5 仮執行宣言
第2 事案の概要
1 本件の事案の概要は,原判決の「事実及び理由」第二の一記載のとおりであり,住基ネットの導入に当たり,控訴人(住基法上の送信主体である杉並区長を含む。以下同じ。)が,住基ネットには個人情報の流出等の危険が存在するとして,被控訴人東京都(住基法上の受信主体である東京都知事を含む。以下同じ。)に対し,住基ネットの安全性が確認されるまでの間,本人確認情報を被控訴人東京都へ通知することを受諾した者(市町村長(特別区の区長も含む。以下同じ。)から都道府県知事へ本人確認情報を通知することを受諾した者を「通知希望者」といい,これを希望しない者を「非通知希望者」という。)に係る本人確認情報のみを通知し,非通知希望者に係る本人確認情報を通知しない方式によって住基ネットへ参加することを申し入れたところ,被控訴人東京都がこれを拒否したため,杉並区民のうちの通知希望者に係る本人確認情報を住基ネットを通じて送信する場合に被控訴人東京都はこれを受信する義務があると主張して,被控訴人東京都に対しその受信義務の確認を求め(以下「本件確認の訴え」という。),また,被控訴人東京都は上記受信義務を怠り,被控訴人国は被控訴人東京都に対して適切な指導を行わないばかりか控訴人に対し横浜市に対する対応と異なった対応をしたため,それぞれ控訴人に損害を与えたなどと主張して,被控訴人らに対し,国家賠償法1条に基づき各自4476万9677円の損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成16年9月17日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「本件国賠請求」という。)ものである。
原審は,本件確認の訴えは裁判所法3条の法律上の争訟に当たらないから不適法であるとして却下し,本件国賠請求については,控訴人が通知希望者に係る本人確認情報のみを送信すること自体が住基法に反するものであり,被控訴人東京都には通知希望者に係る本人確認情報の受信義務はないから,被控訴人東京都が受信を拒否したことに違法性はなく,また,被控訴人国も,被控訴人東京都に対し適切な指導を行わなかったということはできず,いわゆる横浜方式と異なる対応をしたことにも違法性はないとしていずれも棄却したため,控訴人がこれを不服として控訴した。そして,控訴人は,当審において,本件国賠請求に係る請求を追加的に変更し,被控訴人らに対し,従前の請求に加えて,各自連帯して5629万9744円の損害賠償及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日(被控訴人国については平成18年6月3日,被控訴人東京都については同月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
2 本件における関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」第二の二ないし五に記載のとおりであるから,これを引用する。
第1審
住基ネット受信義務確認等請求事件
【事件番号】 東京地方裁判所判決/平成16年(行ウ)第372号
【判決日付】 平成18年3月24日
【判示事項】 1 市町村が都道府県に対して住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報を住民基本台帳ネットワークシステムを通じて送信する場合に,都道府県がこれを受信する義務を有することの確認を求める訴えの,裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」該当性(消極)
2 市町村が,都道府県に対して,当該情報を都道府県に通知することを受諾した住民のみに係る本人確認情報を送信しようとする場合に,都道府県がこのような本人確認情報を受信すべき義務の存否(消極)
【参照条文】 裁判所法3-1
住民基本台帳法30の5
住民基本台帳法30の7
住民基本台帳法30の8
住民基本台帳法30の10-1
住民基本台帳法30の29-1
住民基本台帳法36の2-1
【掲載誌】 訟務月報53巻6号1769頁
主 文
一 本件訴えのうち,当該情報を被告東京都へ通知することを受諾した杉並区の住民に係る住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報を,原告が被告東京都に対して住民基本台帳ネットワークシステムを通じて送信する場合に,被告東京都がこれを受信する義務を有することの確認を求める訴えを却下する。
二 原告の被告東京都に対するその余の請求及び被告国に対する請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求の趣旨
一 被告東京都は,当該情報を被告東京都へ通知することを受諾した杉並区の住民に係る住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報を,原告が被告東京都に対して住民基本台帳ネットワークシステムを通じて送信する場合に,これを受信する義務を有することを確認する。
二 被告らは,原告に対し,各自4476万9677円及びこれに対する平成16年9月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要
一 事案の骨子
原告は,住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)の導入に当たって,住基ネットには個人情報の流出等の危険が存在するとして,被告東京都に対し,住基ネットの安全性が確認されるまでの間,杉並区民のうち,住民基本台帳法30条の5第1項所定の本人確認情報(以下,単に「本人確認情報」という。)を被告東京都へ通知することを受諾した者(以下,一般に,市町村長(特別区の区長も含む。)から都道府県知事へ本人確認情報を通知することを受諾した者を「通知希望者」といい,これを希望しない者を「非通知希望者」という。)に係る本人確認情報のみを被告東京都に通知し,非通知希望者に係る本人確認情報を被告東京都に通知しない方式によって住基ネットへ参加することを申し入れたところ,被告東京都からこれを拒否された。
本件のうち,請求の趣旨第一項に係る訴えは,原告が,杉並区民のうちの通知希望者に係る本人確認情報を住基ネットを通じて被告東京都に送信する場合に,被告東京都はこれを受信する義務があると主張して,被告東京都に対し,その確認を求めるものである(以下,請求の趣旨第一項に係る訴えを「本件確認の訴え」という。)。
また,請求の趣旨第二項に係る訴えは,被告東京都は,前記受信義務を怠り,また,被告国は,被告東京都に対して適切な指導を行わないとともに,原告に対し横浜市に対する対応と異なった対応をして,その結果,原告に損害を与えたなどと主張して,被告らに対し,国家賠償法1条に基づく損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである(以下,請求の趣旨第二項に係る請求を「本件国賠請求」という。)。
二 関係法令の定め
本件に関連する住民基本台帳法(以下「住基法」という。)の規定は,以下のとおりである。
なお,住基法においては,「市町村」は,特別区を含むものとされ,「市町村長」は,特別区の区長を含むものとされている(住基法1条,2条。本判決においても,以下,「市町村」は,特別区を含むものとし,「市町村長」は,特別区の区長を含むものとする。)。また,住基法は,住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成11年法律第133号。以下「改正法」という。)により,住基ネット及び住基法7条13号の住民票コード等に関する規定が新設され,これらの改正規定については,平成14年8月5日から施行されている(改正法附則1条1項本文,住民基本台帳法の一部を改正する法律の施行日を定める政令(平成13年政令第430号))。
〈以下省略〉
三 前提事実
本件の前提となる事実は,次のとおりである。なお,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることのできる事実並びに当裁判所に顕著な事実は,その旨付記しており,それ以外の事実は,当事者間に争いのない事実である。
1 住基ネットの概要
(一) 住基ネットは,住民の居住関係を公的に証明する住民基本台帳のネットワーク化を図り,本人確認情報(氏名,生年月日,性別,住所,住民票コード及び付随情報)により,全国共通の本人確認ができるようにした仕組みをいう(乙5,弁論の全趣旨)。
(二) 住基ネットの基本的な仕組みは,以下のとおりである(乙5,7,弁論の全趣旨)。
(1) 市町村長は,住民票の記載,消除,又は氏名,生年月日,性別,住所及び住民票コードに掲げる事項の全部若しくは一部の記載の修正を行った場合には,市町村に設置されている住民基本台帳事務の電子計算機から,電気通信回線により送信すること等により,本人確認情報を,橋渡しをするための電子計算機(コミュニケーションサーバ。以下「CS」という。)に記録し,都道府県知事に電気通信回線を通じて送信する。
(2) 本人確認情報の送信を受けた都道府県知事は,本人確認情報を都道府県に設置された電子計算機に記録する(以下,この役割をする都道府県に設置された電子計算機を「都道府県サーバ」という。)。
(3) 都道府県知事は,住基法30条の7第3項から6項までに基づき,国の機関又は法人,他の都道府県,当該都道府県の区域内の市町村等の機関等から,事務の処理に関し求めがあったときには,電気通信回線等を通じて,本人確認情報を提供する。また,都道府県知事は,住基法30条の8に基づき,自ら本人確認情報を利用する。
(4) 現在,47都道府県知事すべてが,住基法30条の10に基づき,本人確認情報処理事務を指定情報処理機関に行わせることとしている。
そこで,市町村長から本人確認情報の送信を受けた都道府県知事は,本人確認情報を指定情報処理機関に電気通信回線を通じて送信し,これを受けた指定情報処理機関は,指定情報処理機関に設置された電子計算機に本人確認情報を記録する(以下,この役割をする指定情報処理機関に設置された電子計算機を「全国サーバ」という。)。そして,指定情報処理機関は,都道府県知事に代わって,国の機関等への本人確認情報の提供を行う。
財団法人地方自治情報センター(以下「地方自治情報センター」という。)は,旧自治大臣から,指定情報処理機関の指定を受け,上記業務を行っている。
(三) 住基ネットは,平成14年7月22日から仮運用がされ,同年8月5日から第1次運用が,平成15年8月25日から第2次運用がそれぞれ開始された。
住基ネット受信業務確認等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定/平成20年(行ツ)第80号、平成20年(行ヒ)第84号
【判決日付】 平成20年7月8日
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
主 文
本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。
上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。
理 由
1 上告について
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2 上告受理申立てについて
本件申立ての理由によれば,本件は,民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
平成20年7月8日
最高裁判所第三小法廷
昭和二十二年法律第五十九号
裁判所法
裁判所法目次
第一編 総則
第三条(裁判所の権限) 裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。
② 前項の規定は、行政機関が前審として審判することを妨げない。
③ この法律の規定は、刑事について、別に法律で陪審の制度を設けることを妨げない。
昭和三十七年法律第百三十九号
行政事件訴訟法
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 抗告訴訟
第一節 取消訴訟(第八条―第三十五条)
第二節 その他の抗告訴訟(第三十六条―第三十八条)
第三章 当事者訴訟(第三十九条―第四十一条)
第四章 民衆訴訟及び機関訴訟(第四十二条・第四十三条)
第五章 補則(第四十四条―第四十六条)
昭和四十二年法律第八十一号
住民基本台帳法
目次
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 住民基本台帳(第五条―第十五条の四)
第三章 戸籍の附票(第十六条―第二十一条の三)
第四章 届出(第二十一条の四―第三十条)
第四章の二 本人確認情報の処理及び利用等
第一節 住民票コード(第三十条の二―第三十条の五)
第二節 本人確認情報の通知及び保存等(第三十条の六―第三十条の八)
第三節 本人確認情報の提供及び利用等(第三十条の九―第三十条の二十三)
第四節 本人確認情報の保護(第三十条の二十四―第三十条の四十四)
第四章の三 外国人住民に関する特例(第三十条の四十五―第三十条の五十一)
第五章 雑則(第三十一条―第四十一条の二)
第六章 罰則(第四十二条―第五十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り、あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め、もつて住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。
(国及び都道府県の責務)
第二条 国及び都道府県は、市町村の住民の住所又は世帯若しくは世帯主の変更及びこれらに伴う住民の権利又は義務の異動その他の住民としての地位の変更に関する市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)その他の市町村の執行機関に対する届出その他の行為(次条第三項及び第二十一条の四において「住民としての地位の変更に関する届出」と総称する。)が全て一の行為により行われ、かつ、住民に関する事務の処理が全て住民基本台帳に基づいて行われるように、法制上その他必要な措置を講じなければならない。
(市町村長等の責務)
第三条 市町村長は、常に、住民基本台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 市町村長その他の市町村の執行機関は、住民基本台帳に基づいて住民に関する事務を管理し、又は執行するとともに、住民からの届出その他の行為に関する事務の処理の合理化に努めなければならない。
3 住民は、常に、住民としての地位の変更に関する届出を正確に行うように努めなければならず、虚偽の届出その他住民基本台帳の正確性を阻害するような行為をしてはならない。
4 何人も、第十一条第一項に規定する住民基本台帳の一部の写しの閲覧又は第十二条第一項に規定する住民票の写し若しくは住民票記載事項証明書、第十五条の四第一項に規定する除票の写し若しくは除票記載事項証明書、第二十条第一項に規定する戸籍の附票の写し、第二十一条の三第一項に規定する戸籍の附票の除票の写しその他のこの法律の規定により交付される書類の交付により知り得た事項を使用するに当たつて、個人の基本的人権を尊重するよう努めなければならない。
第二章 住民基本台帳
(住民基本台帳の作成)
第六条 市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければならない。
2 市町村長は、適当であると認めるときは、前項の住民票の全部又は一部につき世帯を単位とすることができる。
3 市町村長は、政令で定めるところにより、第一項の住民票を磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
(住民票の記載事項)
第七条 住民票には、次に掲げる事項について記載(前条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
一 氏名
二 出生の年月日
三 男女の別
四 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
五 戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨
六 住民となつた年月日
七 住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については、その住所を定めた年月日
八 新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については、その年月日)及び従前の住所
八の二 個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号。以下「番号利用法」という。)第二条第五項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)
九 選挙人名簿に登録された者については、その旨
十 国民健康保険の被保険者(国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第五条及び第六条の規定による国民健康保険の被保険者をいう。第二十八条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の二 後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第五十条及び第五十一条の規定による後期高齢者医療の被保険者をいう。第二十八条の二及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の三 介護保険の被保険者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第九条の規定による介護保険の被保険者(同条第二号に規定する第二号被保険者を除く。)をいう。第二十八条の三及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一 国民年金の被保険者(国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七条その他政令で定める法令の規定による国民年金の被保険者(同条第一項第二号に規定する第二号被保険者及び同項第三号に規定する第三号被保険者を除く。)をいう。第二十九条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一の二 児童手当の支給を受けている者(児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条の規定により認定を受けた受給資格者(同条第二項に規定する施設等受給資格者にあつては、同項第二号に掲げる里親に限る。)をいう。第二十九条の二及び第三十一条第三項において同じ。)については、その受給資格に関する事項で政令で定めるもの
十三 住民票コード(番号、記号その他の符号であつて総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)
十四 前各号に掲げる事項のほか、政令で定める事項
(住民票の記載等)
第八条 住民票の記載、消除又は記載の修正(第十八条を除き、以下「記載等」という。)は、第三十条の三第一項及び第二項、第三十条の四第三項並びに第三十条の五の規定によるほか、政令で定めるところにより、第四章若しくは第四章の三の規定による届出に基づき、又は職権で行うものとする。
第一節 住民票コード
(住民票コードの指定)
第三十条の二 機構は、総務省令で定めるところにより、市町村長ごとに、当該市町村長が住民票に記載することのできる住民票コードを指定し、これを当該市町村長に通知するものとする。
2 機構は、前項の規定による住民票コードの指定を行う場合には、市町村長に対して指定する住民票コードが当該指定前に指定した住民票コードと重複しないようにしなければならない。
(住民票コードの記載等)
第三十条の三 市町村長は、次項に規定する場合を除き、住民票の記載をする場合には、当該記載に係る者につき直近に住民票の記載をした市町村長が当該住民票に直近に記載した住民票コードを記載するものとする。
2 市町村長は、新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者につき住民票の記載をする場合において、その者がいずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者であるときは、その者に係る住民票に前条第一項の規定により機構から指定された住民票コードのうちから選択するいずれか一の住民票コードを記載するものとする。この場合において、市町村長は、当該記載に係る者以外の者に係る住民票に記載した住民票コードと異なる住民票コードを選択して記載するものとする。
3 市町村長は、前項の規定により住民票コードを記載したときは、速やかに、当該記載に係る者に対し、その旨及び当該住民票コードを書面により通知しなければならない。
(住民票コードの記載の変更請求)
第三十条の四 住民基本台帳に記録されている者は、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し、その者に係る住民票に記載されている住民票コードの記載の変更を請求することができる。
2 前項の規定による住民票コードの記載の変更の請求(以下この条において「変更請求」という。)をしようとする者は、政令で定めるところにより、その旨その他総務省令で定める事項を記載した変更請求書を、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に提出しなければならない。
3 市町村長は、前項の変更請求書の提出があつた場合には、当該変更請求をした者に係る住民票に従前記載されていた住民票コードに代えて、第三十条の二第一項の規定により機構から指定された住民票コードのうちから選択するいずれか一の新たな住民票コードをその者に係る住民票に記載するものとする。この場合において、市町村長は、当該記載に係る者以外の者に係る住民票に記載した住民票コードと異なる住民票コードを選択して記載するものとする。
4 市町村長は、前項の規定により新たな住民票コードを記載したときは、速やかに、当該変更請求をした者に対し、住民票コードの記載の変更をした旨及び新たに記載された住民票コードを書面により通知しなければならない。
(政令への委任)
第三十条の五 前三条に定めるもののほか、住民票コードの記載に関し必要な事項は、政令で定める。
第二節 本人確認情報の通知及び保存等
(市町村長から都道府県知事への本人確認情報の通知等)
第三十条の六 市町村長は、住民票の記載、消除又は第七条第一号から第三号まで、第七号、第八号の二及び第十三号に掲げる事項(同条第七号に掲げる事項については、住所とする。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部についての記載の修正を行つた場合には、当該住民票の記載等に係る本人確認情報(住民票に記載されている同条第一号から第三号まで、第七号、第八号の二及び第十三号に掲げる事項(住民票の消除を行つた場合には、当該住民票に記載されていたこれらの事項)並びに住民票の記載等に関する事項で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を都道府県知事に通知するものとする。
2 前項の規定による通知は、総務省令で定めるところにより、市町村長の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて都道府県知事の使用に係る電子計算機に送信することによつて行うものとする。
3 第一項の規定による通知を受けた都道府県知事は、総務省令で定めるところにより、当該通知に係る本人確認情報を磁気ディスクに記録し、これを当該通知の日から政令で定める期間保存しなければならない。
(都道府県知事から機構への本人確認情報の通知等)
第三十条の七 都道府県知事は、前条第一項の規定による通知に係る本人確認情報を、機構に通知するものとする。
2 前項の規定による通知は、総務省令で定めるところにより、都道府県知事の使用に係る子計算機から電気通信回線を通じて機構の使用に係る電子計算機に送信することによつて行うものとする。
3 第一項の規定による通知を受けた機構は、総務省令で定めるところにより、当該通知に係る本人確認情報を磁気ディスクに記録し、これを当該通知の日から政令で定める期間保存しなければならない。
(本人確認情報の誤りに関する機構の通報)
第三十条の八 機構は、その事務を管理し、又は執行するに当たつて、第三十条の六第三項の規定により都道府県知事が保存する本人確認情報であつて同項の規定による保存期間が経過していないもの(以下「都道府県知事保存本人確認情報」という。)に誤りがあることを知つたときは、遅滞なく、その旨を当該都道府県知事保存本人確認情報を保存する都道府県知事に通報するものとする。
第三節 本人確認情報の提供及び利用等
(国の機関等への本人確認情報の提供)
第三十条の九 機構は、別表第一の上欄に掲げる国の機関又は法人から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあつたときは、政令で定めるところにより、第三十条の七第三項の規定により機構が保存する本人確認情報であつて同項の規定による保存期間が経過していないもの(以下「機構保存本人確認情報」という。)のうち住民票コード以外のものを提供するものとする。ただし、個人番号については、当該別表第一の上欄に掲げる国の機関又は法人が番号利用法第九条第一項の規定により個人番号を利用することができる場合に限り、提供するものとする。
(デジタル庁への住民票コードの提供)
第三十条の九の二 機構は、デジタル庁から番号利用法第二十一条第二項又は第二十一条の二第一項(これらの規定を番号利用法第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による事務の処理に関し求めがあつたときは、政令で定めるところにより、当該求めに係る者の住民票に記載された住民票コードを提供するものとする。
2 機構は、前項の規定により提供した住民票コードが記載された住民票について当該住民票コードの記載の修正が行われたことを知つたときは、デジタル庁に対し、修正前及び修正後の住民票コードを提供するものとする。
3 前二項に規定する場合において、機構は、機構保存本人確認情報を利用することができる。
(通知都道府県の区域内の市町村の執行機関への本人確認情報の提供)
第三十条の十 機構は、次の各号のいずれかに該当する場合には、政令で定めるところにより、本人確認情報を第三十条の七第一項の規定により通知した都道府県知事が統括する都道府県(以下「通知都道府県」という。)の区域内の市町村の市町村長その他の執行機関に対し、機構保存本人確認情報(第一号及び第二号に掲げる場合にあつては、住民票コードを除く。)を提供するものとする。ただし、第一号に掲げる場合にあつては、個人番号については、当該市町村長その他の市町村の執行機関が番号利用法第九条第一項の規定により個人番号を利用することができる場合に限り、提供するものとする。
一 通知都道府県の区域内の市町村の市町村長その他の執行機関であつて別表第二の上欄に掲げるものから同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあつたとき。
二 通知都道府県の区域内の市町村の市町村長その他の執行機関から番号利用法第九条第二項の規定に基づき条例で定める事務の処理に関し求めがあつたとき。
三 通知都道府県の区域内の市町村の市町村長から住民基本台帳に関する事務の処理に関し求めがあつたとき。
2 前項(第三号に係る部分に限る。)の規定による通知都道府県の区域内の市町村の市町村長への機構保存本人確認情報の提供は、総務省令で定めるところにより、機構の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて当該市町村長の使用に係る電子計算機に送信することによつて行うものとする。ただし、特別の求めがあつたときは、この限りでない。