就労継続支援A型事業所の閉鎖に伴う整理解雇
ネオユニット事件
地位確認等請求控訴事件
【事件番号】 札幌高等裁判所判決/令和元年(ネ)第310号
【判決日付】 令和3年4月28日
【判示事項】 1 被控訴人(一審被告)Y1社が運営する就労継続支援A型(雇用型)事業所の閉鎖に伴う控訴人(一審原告)スタッフX3,X9および知的障害または精神障害を有する控訴人(一審原告)利用者X1,X4,X5,X7の解雇の効力について,事業廃止の必要性と解雇手続きの妥当性の2点を検討して解雇を有効と判断した一審判決を変更し,Xらへの説明等において解雇手続きが相当であったとはいえず,合意退職の意向確認など解雇回避努力も尽くされていなかったとして,解雇権濫用に当たるとされた例
2 整理解雇に当たって使用者が負う「労働者等との間で十分な協議を行うべき信義則上の義務」について,「障害の特性等も踏まえた上で,Dの閉鎖等に係る事情について丁寧に説明したり,十分な再就職の支援等を行ったりして,……利用者X1らの理解を得る(……)ように努めるべきであった」として,障害特性に対する配慮を要するとされた例(障害者雇用促進法36条の3)
3 スタッフX3らおよび利用者X1らに対する本件解雇はいずれも無効であるとして,解雇後の賃金支払請求が認容された例
4 本件解雇およびそれをめぐるY1社および被控訴人(一審被告)Y2の対応による精神的苦痛に対する損害賠償請求につき,利用者について慰謝料各5万円および弁護士費用各5000円を認容した一審判決を変更し,利用者X1らについて,慰謝料各30万円および弁護士費用各3万円が認容された例
【掲載誌】 労働判例1254号28頁
LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 労働基準広報2102号14頁
労働契約法
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
障害者雇用促進法36条の3
昭和三十五年法律第百二十三号
障害者の雇用の促進等に関する法律
第三十六条の三 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。