グルグル回し取引によって不良在庫を抱えて経営が破綻した子会社に対する親会社の債務保証ないし既往の融資については親会社の取締役は忠実義務および善管注意義務に違反するが、子会社の再建のためにした子会社に対する債権の放棄ないし新規の貸付については同義務に違反しないとした第1審判決が控訴審において是認された事例
福岡高等裁判所判決/平成23年(ネ)第255号
平成24年4月13日
損害賠償請求控訴事件
福岡魚市場事件
【判示事項】 グルグル回し取引によって不良在庫を抱えて経営が破綻した子会社に対する親会社の債務保証ないし既往の融資については親会社の取締役は忠実義務および善管注意義務に違反するが、子会社の再建のためにした子会社に対する債権の放棄ないし新規の貸付については同義務に違反しないとした第1審判決が控訴審において是認された事例
【判決要旨】 グルグル回し取引によって不良在庫を抱えて経営が破綻した子会社に対する親会社の代表取締役ないし取締役は、子会社に対する監視を怠り、子会社の経営状況を調査しないで親会社に子会社の取引先に対する極度額の定めのない連帯保証契約を締結させ、また、子会社に対する高額の融資をさせた点においては、取締役としての忠実義務および善管注意義務に違反するが、子会社の再建を図るため、子会社に対する債権を親会社に放棄させ、さらに、子会社に対する実質的には既存の貸付金を減額した上でその返済期限を猶予するに等しい新規の貸付をさせた点においては、取締役としての忠実義務および善管注意義務に違反しないとした第1審判決は、原判示および本判示の事実関係の下においては、これを是認することができる。
【参照条文】 会社法355
民法644
【掲載誌】 金融・商事判例1399号24頁
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