ルンバール事件
損害賠償請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和48年(オ)第517号
【判決日付】 昭和50年10月24日
【判示事項】 医師が化膿性髄膜炎の治療としてしたルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)の施術とその後の発作等及びこれに続く病変との因果関係を否定したのが経験則に反するとされた事例
【判決要旨】 重篤な化膿性髄膜炎に罹患した3才の幼児が入院治療を受け、その病状が一貫して軽快していた段階において、医師が治療としてルンバール(腰椎穿刺による髄液採取とペニシリンの髄腔内注入)を実施したのち、嘔吐、けいれんの発作等を起こし、これにつづき右半身けいれん性不全麻痺、知能障害及び運動障害等の病変を生じた場合、右発作等が施術後15分ないし20分を経て突然に生じたものであつて、右施術に際しては、もともと血管が脆弱で出血性傾向があり、かつ泣き叫ぶ右幼児の身体を押えつけ、何度か穿刺をやりなおして右施術終了まで約30分を要し、また、脳の異常部位が左部にあつたと判断され、当時化膿性髄膜炎の再燃するような事情も認められなかつたなど判示の事実関係のもとでは、他に特段の事情がないかぎり、右ルンバールと右発作等及びこれにつづく病変との因果関係を否定するのは、経験則に反する。(補足意見がある。)
【参照条文】 民法709
国家賠償法1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集29巻9号1417頁
コメント
医療過誤だけではなく、事実認定の経験則、因果関係の基本となる重要な判例です
国家賠償法
第一条1項 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。