トナミ運輸事件・内部通報
損害賠償金等請求事件
【事件番号】 富山地方裁判所判決/平成14年(ワ)第17号
【判決日付】 平成17年2月23日
【判示事項】 労働者が勤務先会社にヤミカルテルがある旨を新聞社に内部告発をしたことが正当であり、内部告発を理由とする不利益取扱いが不法行為及び債務不履行に当たるとされた事例
【参照条文】 民法415
民法709
【掲載誌】 判例タイムズ1187号121頁
判例時報1889号16頁
労働判例891号12頁
労働経済判例速報1903号3頁
公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)
(定義)
第二条 この法律において「公益通報」とは、次の各号に掲げる者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、当該各号に定める事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)(以下「役務提供先」という。)又は当該役務提供先の事業に従事する場合におけるその役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該役務提供先若しくは当該役務提供先があらかじめ定めた者(以下「役務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関若しくは当該行政機関があらかじめ定めた者(次条第二号及び第六条第二号において「行政機関等」という。)又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該役務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号及び第六条第三号において同じ。)に通報することをいう。
一 労働者(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者をいう。以下同じ。)又は労働者であった者 当該労働者又は労働者であった者を自ら使用し、又は当該通報の日前一年以内に自ら使用していた事業者(次号に定める事業者を除く。)
二 派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。第四条において「労働者派遣法」という。)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)又は派遣労働者であった者 当該派遣労働者又は派遣労働者であった者に係る労働者派遣(同条第一号に規定する労働者派遣をいう。第四条及び第五条第二項において同じ。)の役務の提供を受け、又は当該通報の日前一年以内に受けていた事業者
三 前二号に定める事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行い、又は行っていた場合において、当該事業に従事し、又は当該通報の日前一年以内に従事していた労働者若しくは労働者であった者又は派遣労働者若しくは派遣労働者であった者 当該他の事業者
四 役員 次に掲げる事業者
イ 当該役員に職務を行わせる事業者
ロ イに掲げる事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該役員が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者
2 この法律において「公益通報者」とは、公益通報をした者をいう。
3 この法律において「通報対象事実」とは、次の各号のいずれかの事実をいう。
一 この法律及び個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。以下この項において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実又はこの法律及び同表に掲げる法律に規定する過料の理由とされている事実
二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)
4 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一 内閣府、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、デジタル庁、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員
二 地方公共団体の機関(議会を除く。)
(解雇の無効)
第三条 労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に定める事業者(当該労働者を自ら使用するものに限る。第九条において同じ。)が行った解雇は、無効とする。
一 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する場合 当該役務提供先等に対する公益通報
二 通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合又は通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると思料し、かつ、次に掲げる事項を記載した書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。次号ホにおいて同じ。)を提出する場合 当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報
イ 公益通報者の氏名又は名称及び住所又は居所
ロ 当該通報対象事実の内容
ハ 当該通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
ニ 当該通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由
三 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合 その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報
イ 前二号に定める公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ロ 第一号に定める公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合
ハ 第一号に定める公益通報をすれば、役務提供先が、当該公益通報者について知り得た事項を、当該公益通報者を特定させるものであることを知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由がある場合
ニ 役務提供先から前二号に定める公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合
ホ 書面により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合
ヘ 個人の生命若しくは身体に対する危害又は個人(事業を行う場合におけるものを除く。以下このヘにおいて同じ。)の財産に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。第六条第二号ロ及び第三号ロにおいて同じ。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合
(不利益取扱いの禁止)
第五条 第三条に規定するもののほか、第二条第一項第一号に定める事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱いをしてはならない。
2 前条に規定するもののほか、第二条第一項第二号に定める事業者は、その指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、当該公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めることその他不利益な取扱いをしてはならない。
3 第二条第一項第四号に定める事業者(同号イに掲げる事業者に限る。次条及び第八条第四項において同じ。)は、その職務を行わせ、又は行わせていた公益通報者が次条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、報酬の減額その他不利益な取扱い(解任を除く。)をしてはならない。
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