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2023年02月18日
障害を理由とする公共職業訓練不合格処分の国家賠償法上の違法性―高知県事件


障害を理由とする公共職業訓練不合格処分の国家賠償法上の違法性―高知県事件

       公共職業訓練不合格処分取消等,損害賠償請求控訴,同附帯控訴事件

【事件番号】 高松高等裁判所判決/平成30年(行コ)第11号、平成30年(行コ)第16号

【判決日付】 令和2年3月11日

【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】 賃金と社会保障1759~1760号68頁

       主   文

 1 本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。

 2 当審における訴訟費用は各自の負担とする。

       事実及び理由

 第1 当事者の求めた裁判

 1 控訴の趣旨

 (1)原判決中控訴人の敗訴部分を取り消す。

 (2)上記部分に係る被控訴人の請求を棄却する。

 2 附帯控訴の趣旨

 (1)原判決中控訴人に対する損害賠償請求に関する部分を次のとおり変更する。

 (2)控訴人は,被控訴人に対し,165万円及びこれに対する平成26年5月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 第2 事案の概要等

 1 事案の概要

 本件は,被控訴人が,国(高知地方裁判所平成27年(ワ)第374号損害賠償請求事件被告)から委託を受けて控訴人が実施する職業能力開発促進法4条2項に基づく職業訓練の受講を申し込み,その選考を受験したところ,控訴人が被控訴人の広汎性発達障害を理由として同選考を不合格とする違法な処分をしたと主張して,控訴人に対し,同処分の取消し及び国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として165万円及びこれに対する違法行為の後の日である平成26年5月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,国に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として165万円及びこれに対する同遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。

 原審は,被控訴人の処分取消しの訴えを却下し,控訴人に対する損害賠償請求のうち,33万円及びこれに対する上記遅延損害金の支払を命ずる限度で認容し,控訴人に対するその余の請求及び国に対する請求をいずれも棄却したところ,控訴人が上記敗訴部分を不服として控訴し,被控訴人が控訴人に対する損害賠償請求の敗訴部分を不服として附帯控訴した。したがって,当審における審理の対象は,被控訴人の控訴人に対する上記損害賠償請求の当否である。

 2 関係する法令等の概要

 関係する法令等の概要は,原判決12頁18行目の「26」の次に「日」を加えるほか,原判決第2の1記載のとおりであるから,これを引用する。

 3 前提事実(争いのない事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定し得る事実)

 (1)当事者等

 ア 被控訴人(昭和31年○月○○日生)は,発達障害の診断を受け,精神保健福祉法45条2項の規定により精神障害者保健福祉手帳(以下「障害者手帳」という。)の交付を受けていた者であり,平成26年度介護職員初任者研修科1(以下「本件職業訓練」という。)の受講を申し込み,その選考を受験した者である(甲2)。

 イ 控訴人は,促進法4条2項に基づき本件職業訓練を実施していた。控訴人は,同法に基づく職業能力開発校として,高知県立A技術学校(以下「本件学校」という。)を設置している。(乙2)

 (2)本件職業訓練

 本件職業訓練は,促進法4条2項に基づく離職者訓練であり,国から委託を受けた控訴人が株式会社B高知支店(以下「B高知支店」という。)に再委託して実施した委託訓練である。

 本件職業訓練は,初めて介護の仕事に就こうとする者を対象とした訓練であり,介護の基礎知識・技術の習得を目標とするものであった。(甲3,同16,同17)

 (3)本件職業訓練についての選考

 本件職業訓練についての選考(以下「本件選考」という。)は,控訴人に委託されており,本件学校の校長(以下「学校長」という。)は,高知県事務処理規則(平成15年4月1日規則第44号)に基づき,高知県知事から職業訓練の選考に関する決定権限を受任した決裁権者であった。

 本件職業訓練の募集要項(以下「本件募集要項」という。)は原判決別紙のとおりである。(甲3,乙9)

 (4)被控訴人の受験

 ア 被控訴人は,平成25年10月,就職に向けて,高知公共職業安定所(以下「高知安定所」という。)に相談し,その際,自身に発達障害があることや障害者手帳の申請を行っていることを申告した。被控訴人は,同年12月には,高知安定所において障害者登録を行った。

 イ 被控訴人は,平成26年4月8日,本件学校宛ての公共職業訓練受講申込書を高知安定所に提出し,同月22日,当時の高知職業訓練支援センター(以下「本件選考会場」という。)で行われた本件選考を受験した。本件選考は,筆記試験と面接試験(以下「本件面接」という。)から成り,被控訴人に対する面接は,本件学校の職員1名とB高知支店の担当者1名(以下「面接担当者ら」という。)が担当した。

 ウ 面接担当者らは,受験者ごとに,本件面接の結果をあらかじめ定められた面接評価シートと題する書式(以下「本件評価シート」という。)に記載した。

 本件面接においては,面接官2名が共に0点と評価する項目がある場合(以下「ゼロ評価」という。)には,合格の優先順位を下げることとされていたところ,面接担当者らは,被控訴人について,修了見込に関し,「安全に実技を行うことができる健康状態であり,訓練を受講・修了することに支障がない」との項目(以下「本件項目」という。)をゼロ評価とした。(甲5の1及び2,同24ないし28,同30,乙10)

 (5)被控訴人に対する不合格判定

 学校長は,本件選考について被控訴人を不合格とする旨の決裁を行い,高知県知事は,これに基づいて平成26年5月1日付けで,本件選考につき,被控訴人を不合格とした(以下「本件不合格」という。)。被控訴人は,本件不合格により,高知安定所長から本件職業訓練についての受講指示を受けることができず,本件職業訓練を受講することができなかった。本件職業訓練は,同年8月8日に終了した。(甲3)

 (6)別件研修の受講

 被控訴人は,平成26年5月16日,求職者支援法に基づく職業訓練としての介護職員実務者研修科(以下「実務者研修」という。)の選考に合格し,その後,同研修を修了した(甲11ないし13)。

 4 争点及びこれに対する当事者の主張

 (1)本件不合格の違法性の有無(争点1)

 ア 被控訴人の主張

(後略)

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