減額再更正処分の取消しを求める訴えの利益
テーマ:租税法、国税通則法
最高裁判所第2小法廷判決/昭和52年(行ツ)第12号
昭和56年4月24日
『昭和56年重要判例解説』行政法事件
所得税更正決定取消請求事件
【判示事項】 1、減額再更正処分の取消しを求める訴えの利益
2、弁護士の顧問料収入が給与所得に当たらないとされた事例
【判決要旨】 申告に係る税額につき更正処分がされたのち、いわゆる減額再更正がされた場合、右再更正処分は、それにより減少した税額に係る部分についてのみ法的効果を及ぼすものであり(国税通則法29条2項)、それ自体は、再更正処分の理由のいかんにかかわらず、当初の更正処分とは別個独立の課税処分ではなく、その実質は、当初の更正処分の変更であり、それによって、税額の一部取消という納税者に有利な効果をもたらす処分と解するのを相当とする。そうすると、納税者は、右の再更正処分に対してその救済を求める訴の利益はなく、専ら減額された当初の更正処分の取消を訴求することをもって足りるというべきである。
【参照条文】 国税通則法26
国税通則法29-2
行政事件訴訟法9
所得税法27-1
所得税法28-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集35巻3号672頁