目次
第1部 景観・眺望利益侵害型
第1章 1 良好な景観の恵沢を享受する利益は法律上保護されるか
2 良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるために必要な条件
3 直線状に延びた公道の街路樹と周囲の建物とが高さにおいて連続性を有し調和がとれた良好な景観を呈している地域において地上14階建ての建物を建築することが良好な景観の恵沢を享受する利益を違法に侵害する行為に当たるとはいえないとされた事例
第2章 葬儀場の営業を行う業者が、その近隣に居宅を共有してこれに居住する者に対し、上記居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も、葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとされた事例
第3章 近隣の建物の眺望の妨害となる建物の建築が権利の濫用と認定された事件
第4章 1、土地収用法20条3号の判断における建設大臣の裁量権と司法審査の方法
2、高度の文化的価値を持つ自然環境を道路建設のため収用する場合の判断基準
3、土地収用法20条3号に該当するとの建設大臣の判断が当然に尽すべき考慮を尽さず、本来考慮に容れるべきでない事項を考慮するなどその判断の方法ないし過程に過誤があるとされた事例
第5章 美観地区内の料理旅館よりの景観が阻害されるとして求めた3階以上のビル建設工事禁止の仮処分申請に対し、4階以上の工事禁止を命じた事例
第6章 一、眺望利益が法的保護を受けるための要件
二、眺望権の侵害を理由とする建築工事中止の仮処分申請が認められなかった事例
第7章 環境破壊を理由とする日比谷公園横の超高層ビル建築工事禁止の仮処分申請が却下された事例
第8章 個人住宅の眺望を阻害する建物の建築が権利の濫用にあたり不法行為を構成するとして慰藉料の支払を命じた事例
第9章 看板広告を掲出していた者からの眺望の利益の侵害等を理由とする損害賠償請求が認められなかった事例
第10章 名勝松島海岸の眺望を生命とする料理飲食店が、隣接飲食店の改築工事によって右眺望が阻害されるとして、右工事禁止を求めた仮処分申請が認容された事例
第11章 マンションの建設が別荘所有者の眺望の利益を侵害したとして地価の低下につき損害賠償が認められた事例
第12章 リゾートマンションの1室からの眺望を阻害するマンションを建設した行為が不法行為を構成するとされた事例
第13章 マンションの建築による眺望阻害を理由とする住民の損害賠償請求を一部認容した一審判決が、受忍限度を越える立証がないとして、取り消された事例
第14章 鎌倉市の古都景観地域の建物所有・居住者が隣接地に四階建てマンションを建築した業者に対して古都鎌倉の景観、自宅からの眺望を侵害するとして提起した損害賠償請求が棄却された事例
第15章 1 工事が完了し検査済み証が交付された場合における建築確認およびそれについての裁決の取消しを求める訴え並びに開発行為非該当確認およびそれについての裁決の取消しを求める訴えを訴えの利益(行政事件訴訟法37条の2第3項、4項)を欠くとして却下した事例
2 建築基準法9条1項に基づく建築物の一部除却命令等を京都市長がすることを求める非申請型義務付けの訴えを重大な損害(行政事件訴訟法37条の2)が認められないとして却下した事例
第16章 人格権に基づく再開発事業の差止請求が棄却された事例
第17章 建物の赤白ストライプ外壁部分は近隣住民の景観利益、平穏生活権を侵害するものではないとして、赤白ストライプ外壁部分の撤去請求を棄却した事例
第18章 真鶴町の別荘地から望む相模湾の眺めが失われるとして、別荘所有者が海側の隣接地に住宅を建築しようとしている女性に対し、建築計画変更請求仮処分申立をしたのに対し、約40年前に別荘を購入した父親から譲り受けた男性が良好な眺望を享受する利益を有するとした上、女性は平家建てでも良好な眺望を得られるのに、自らの都合のみを考えて建物の設計を行ったなどとして、建築等差止仮処分を認めた事例
第19章 本件公有水面への慣習排水権、本件公有水面において漁業権を有し、かつ、鞆の浦の景観利益を享受する原告らが、広島県知事が同県および補助参加人A市からの各公有水面の埋立免許の出願について、同免許処分の差止めを求めた事案について、原告の一部につき、行訴法所定の法律上の利益がないと認め、訴を却下し、漁業権は、漁業組合が放棄したと認め、慣習排水権者と認めた原告らの慣習排水権について、行訴法所定の「重大な損害を生ずるおそれ」は認められないとし、景観利益については、本件埋立免許がされることにより重大な損害を生ずるおそれがあると認め、「損害を避けるため他に適当な方法がある」とはいえないとして、請求を認容した事例
第20章 マンションの建設工事に伴う騒音被害につき不法行為に基づく損害賠償請求が一部認容されたが、景観権ないし景観利益侵害を理由とするマンションの一部撤去・損害賠償請求、プライバシー侵害、日照侵害を理由とする損害賠償請求等が棄却された事例
第21章 奈良県葛城市に居住するXらが、市が金剛生駒紀泉国定公園の特別地域内に一般廃棄物処理施設の建設を計画しており、同施設が建設されると文化的な景観等が侵害され、事後的に回復することは不可能となるとして、県に対し、知事が自然公園法20条3項に基づく許可をすることの差止めを求めた訴訟で、原審が訴えを却下し、Xらが控訴した事案。
第2部 マンション販売の際の説明義務
第1章 眺望を売り物にしてマンションを分譲したマンション業者が、右眺望を阻害するマンションの建築を容認しつつ、隣接地を他のマンション建設業者に売却した行為が、マンション購入者に対する不法行為にあたるとして、損害賠償請求が一部認容された事例
第2章 眺望と日照を強調してマンションを販売した業者がその南隣に第二のマンションを建築していることが信義則に反するとして工事禁止の仮処分申請が一部認容された事例
第3章 建築前のマンション売買交渉において売主が居室からの眺望についてした説明が建築完成後の状況と異なるときは、買主は契約を解除できるとした事例
第4章 買主において花火大会の花火を観覧できる利益を重視してマンションの一室を購入したことを知っていた分譲業者が、自ら花火の観望を妨げる建築物を建築したという事案において上記分譲業者の不法行為を肯定した事例
第5章 20階建てマンションの居住者らが、隣接する土地に24階建てマンションが新築されたことにつき、主位的には人格権(眺望権・圧迫感を受けないで生活する権利)を侵害されたとして新築マンションの販売会社および建設会社に損害賠償を求め、予備的には右販売会社が両マンションの販売を手掛けたことから売買契約の付随義務違反・眺望に関する説明義務違反があったとして損害賠償を求めたが、いずれの請求も棄却された事例