「会計法」
会計法第30条 金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、5年間これを行わないときは、時効に因り消滅する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
最高裁昭和35・7・12
納税のため物納された土地を大蔵大臣が払い下げる処分は、私法上の売買であって行政処分ではない。
最高裁昭和41年11月1日
国の普通財産売払代金債権は、会計法第3〇条に規定する5年の消滅時効期間に服さない。
最高裁昭和45年7月15日
一、弁済供託における供託金取戻請求が供託官により却下された場合には、供託官を被告として却下処分の取消の訴を提起することができる。
二、弁済供託における供託金取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎となった債務について紛争の解決などによってその不存在が確定するなど、供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行し、10年をもって完成する。
最高裁昭和50年2月25日
一、国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたって、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解すべきである。
二、国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は、会計法30条が適用されず、民法167条1項により、10年と解すべきである。
最高裁昭和46・11・30
一、土地区画整理事業の施行者が、仮換地を指定し、その使用開始の日を別に定めることなく、従前の土地の使用を禁止した場合において、施行者が土地区画整理法七七条に基づき仮換地上に存在する第三者所有の建物を移転しまたは除却する権限を行使せず、土地所有者が長期間にわたり仮換地を現実に使用することができないため損害を被ったときは、施行者は、右建物の移転または除去を怠った違法な不作為により、土地所有者に右損害を与えたものであって、これを賠償する義務を負うものと解すべきである。
二、国家賠償法に基づく普通地方公共団体に対する損害賠償請求権の消滅時効については、民法145条の適用がある。
最高裁平成17・11・21
公立病院における診療に関する債権は、その本質が私法上の債権と解されるから、その消滅時効期間は,民法170条1号により、3年と解すべきである
会計法第31条 金銭の給付を目的とする国の権利の時効による消滅については、別段の規定がないときは、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
2 金銭の給付を目的とする国の権利について、消滅時効の中断、停止その他の事項(前項に規定する事項を除く。)に関し、適用すべき他の法律の規定がないときは、民法 の規定を準用する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
最高裁昭和44年11月6日
労働者災害補償保険法20条1項の規定によって国が取得する損害賠償債権は、会計法31条1項の規定する時効の利益を放棄することができない旨の制限に服しない。
会計法第32条 法令の規定により、国がなす「納入の告知」は、民法第153条 (会計法31条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。
最高裁昭和53年3月17日
国が私人から承継取得した私法上の債権(求償金債権)についてされる「納入の告知」についても会計法32条の適用がある。
国との契約書に記載なき特約の存否と経験則
最高裁昭和47年3月2日
国と私人との間に、私人を売主として成立した土地売買契約において、目的土地の利用方法に関する特約は、当事者にとって極めて重要な特約であるから、右契約につき予算決算及び会計令(昭和二七年改正前)68条に基づき契約書が作成された以上、かかる特約の趣旨は契約者に記載されるのが通常の事態であり、これに記載されていないときは、特段の事情のないかぎり、かかる特約は存在しないものと認めるべきである。