児童相談所長である申立人が,児童福祉法28条1項に基づき,保護者である母から暴言や暴行を受けて一時保護中の児童について,里親等への委託又は児童養護施設への入所を承認するよう求めた事案
児童福祉法28条1項申立事件
【事件番号】 福岡家庭裁判所審判/平成31年(家)第313号
【判決日付】 令和元年8月6日
【判示事項】 児童相談所長である申立人が,児童福祉法28条1項に基づき,保護者である母から暴言や暴行を受けて一時保護中の児童について,里親等への委託又は児童養護施設への入所を承認するよう求めた事案において,児童家庭支援センターへの定期的な通所,心理カウンセリングの受講,児童相談所の家庭訪問や助言の受け入れ等を内容とする審判前の指導措置の勧告を行った上で,同勧告に基づく援助を母が肯定的に捉えていることから,児童に対する監護が著しく児童の福祉を害するものとはいえないとして,申立てを却下し,併せて同条7項に基づく同内容の勧告をした事例
【参照条文】 児福法28-1
児福法28-4
児福法28-7
【掲載誌】 判例タイムズ1473号248頁
判例時報2442号116頁
児童福祉法
第二十八条 保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第二十七条第一項第三号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措置を採ることができる。
一 保護者が親権を行う者又は未成年後見人であるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。
二 保護者が親権を行う者又は未成年後見人でないときは、その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すこと。ただし、その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。
② 前項第一号及び第二号ただし書の規定による措置の期間は、当該措置を開始した日から二年を超えてはならない。ただし、当該措置に係る保護者に対する指導措置(第二十七条第一項第二号の措置をいう。以下この条並びに第三十三条第二項及び第九項において同じ。)の効果等に照らし、当該措置を継続しなければ保護者がその児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他著しく当該児童の福祉を害するおそれがあると認めるときは、都道府県は、家庭裁判所の承認を得て、当該期間を更新することができる。
③ 都道府県は、前項ただし書の規定による更新に係る承認の申立てをした場合において、やむを得ない事情があるときは、当該措置の期間が満了した後も、当該申立てに対する審判が確定するまでの間、引き続き当該措置を採ることができる。ただし、当該申立てを却下する審判があつた場合は、当該審判の結果を考慮してもなお当該措置を採る必要があると認めるときに限る。
④ 家庭裁判所は、第一項第一号若しくは第二号ただし書又は第二項ただし書の承認(以下「措置に関する承認」という。)の申立てがあつた場合は、都道府県に対し、期限を定めて、当該申立てに係る保護者に対する指導措置を採るよう勧告すること、当該申立てに係る保護者に対する指導措置に関し報告及び意見を求めること、又は当該申立てに係る児童及びその保護者に関する必要な資料の提出を求めることができる。
⑤ 家庭裁判所は、前項の規定による勧告を行つたときは、その旨を当該保護者に通知するものとする。
⑥ 家庭裁判所は、措置に関する承認の申立てに対する承認の審判をする場合において、当該措置の終了後の家庭その他の環境の調整を行うため当該保護者に対する指導措置を採ることが相当であると認めるときは、都道府県に対し、当該指導措置を採るよう勧告することができる。
⑦ 家庭裁判所は、第四項の規定による勧告を行つた場合において、措置に関する承認の申立てを却下する審判をするときであつて、家庭その他の環境の調整を行うため当該勧告に係る当該保護者に対する指導措置を採ることが相当であると認めるときは、都道府県に対し、当該指導措置を採るよう勧告することができる。
⑧ 第五項の規定は、前二項の規定による勧告について準用する。