陸送中の自動車による事故につきその所有者が自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任を負わないとされた事例
損害賠償請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和43年(オ)第596号
【判決日付】 昭和47年10月5日
【判示事項】 陸送中の自動車による事故につきその所有者が自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任を負わないとされた事例
【判決要旨】 大型自動車の販売を業とする甲からその所有の半製品自動車につき車体の架装を請け負つた乙が、架装完了後、自己に専属する運送業者である丙に右自動車の甲方までの陸送を請け負わせ、丙の被用者が右目的のためこれを運転中事故を起こした場合において、乙が、経済的実質的に甲に従属する関係になく、右事故当時も、架装を完了した自動車を甲に引き渡すべき義務の履行として、みずから費用を負担して丙に陸送させたものであり、甲は、丙と直接の請負関係に立つことがなく、丙およびその被用者に対して直接または間接に指揮監督を及ぼす関係になかつたなど判示の事情があるときは、甲は、自動車損害賠償保障法3条による運行供用者としての責任を負わないものと解すべきである。
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集26巻8号1367頁
自動車損害賠償保障法
(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。