海浜に打ち上げられた旧陸軍の砲弾により人身事故が生じた場合に、警察官においてその回収等の措置を採らなかったことが違法であるとされた事例
最高裁判所第2小法廷判決/昭和56年(オ)第174号
昭和59年3月23日
『昭和59年重要判例解説』行政法事件
損害賠償請求事件
【判示事項】 海浜に打ち上げられた旧陸軍の砲弾により人身事故が生じた場合に、警察官においてその回収等の措置を採らなかったことが違法であるとされた事例
【判決要旨】 終戦後新島近くの海中に大量に投棄された旧陸軍の砲弾類の1部が海浜に打ち上げられ、たき火の最中に爆発して人身事故が生じた場合において、投棄された砲弾類が島民等によって広く利用されていた海浜に毎年のように打ち上げられ、島民等は絶えず爆発による人身事故等の発生の危険にさらされていたが、この危険を通常の手段では除去することができず、放置すれば島民等の生命、身体の安全が確保されないことが相当の蓋然性をもって予測されうるような判示の事実関係のもとで、警察官がこれを容易に知りうるような状況にあったときは、警察官において、自ら又は他の機関に依頼して、右砲弾類を回収するなど砲弾類の爆発による人身事故の発生を未然に防止する措置をとらなかったことは、その職務上の義務に違背し、違法である。
【参照条文】 国家賠償法1-1
警察法2
警察官職務執行法4-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集38巻5号475頁
最高裁判所裁判集民事141号387頁
裁判所時報886号1頁
判例タイムズ524号99頁