IT技術者→倉庫係へ配転したことは,人事権濫用に当たり無効である~エルメス・ジャポン事件
エルメス・ジャポン事件(東京地判平22.2.8労判1003号84頁〈要旨〉)は,大学卒業後IT技術者としてのキャリアを有する者を情報システム専門職として雇用したうえで情報システム関連の業務に従事させ,5年後に倉庫係へと配転したことにつき,特定の職種以外に就かせないとの合意があったとは認められなくても,5年以上も情報システム関連の業務に従事していたことにより,情報システム専門職としてキャリアを形成していくことができるとする期待は合理的であり,配転命令について業務上の必要性は高くなく,キャリアを形成していく期待への配慮がなく,理解を求める手続きをとらないまま,その技術や経験を活かすことのできない業務に漫然と配転したことは人事権濫用に当たり,無効であると判断している。