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2023年08月08日
防衛大学校事件・パワハラ

防衛大学校事件・パワハラ

 

 

              損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      福岡高等裁判所判決/令和元年(ネ)第785号

【判決日付】      令和2年12月9日

【判示事項】      被控訴人設置の防衛大を退校した控訴人が,在校中,在校生から暴行,強要等の加害行為を受けたことに関し,防衛大の組織又はその教官等において,各行為を防止すべき安全配慮義務違反があったとして損害賠償を求めた事件の,請求棄却の原判決に対する控訴事案。当審で控訴人は国賠法に基づく損害賠償請求を選択的に追加。

控訴審は,各行為の一部につき指導教官らに安全配慮義務違反があり,同教官らは被控訴人の履行補助者であったといえるから,被控訴人が控訴人に対して安全配慮義務違反の責任を負うとし,同義務違反と防衛大退校との相当因果関係があるとして認定した損害額の限度で請求を認容して原判決を変更し,当審での請求は上記認容額を超えることはないとして棄却した事例

【参照条文】      民法415

             国家賠償法1-1

【掲載誌】        判例時報2515号42頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

 

民法

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

 

 

       主   文

 

 1 原判決を次のとおり変更する。

  (1) 被控訴人は,控訴人に対し,268万2086円及びこれに対する平成28年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (2) 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。

 2 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを10分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。

 3 この判決の第1項(1)は,本判決が被控訴人に送達された日から14日を経過したときは,仮に執行することができる。ただし,被控訴人が,控訴人に対し,215万円の担保を供するときは,その執行を免れることができる。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 原判決を取り消す。

 2 被控訴人は,控訴人に対し,2297万2380円及びこれに対する平成28年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要(略称等は,特に断らない限り,原判決の表記による。)

 1 本件は,被控訴人の設置する防衛大学校(防衛大)に2学年時まで在校し,その後退校した控訴人が,在校中,防衛大の8人の在校生(本件学生ら)から,暴行,強要等の加害行為(本件各行為)を受けたことに関し,防衛大の組織として,又はその履行補助者である防衛大の教官等において,本件各行為を防止するための対応を怠ったことなどについて安全配慮義務違反があり,この安全配慮義務違反により,本件学生らによる本件各行為の発生を防ぐことができず,控訴人はこれにより精神的苦痛を受けるとともに,防衛大からの退校を余儀なくされたなどと主張し,被控訴人に対し,債務不履行に基づく損害賠償請求として,損害額合計2297万2380円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成28年4月9日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

   原判決は,控訴人の請求を棄却した。控訴人は,原判決を不服として控訴した上,当審において,防衛大の教官らは,防衛大内部において学生間における暴力等の加害行為が起こらないように学生を指導監督すべき注意義務を負っていたにもかかわらず,これを怠った過失があり,その結果,本件学生らによる控訴人に対する本件各行為の発生を防止することができず,控訴人が損害を被ったものであるから,被控訴人は,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき,防衛大の教官らの上記過失によって控訴人が負った損害について賠償義務を負うとして,被控訴人に対し,同項に基づき,債務不履行に基づく損害賠償請求と同額の支払を求める請求を選択的に追加した。

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