松尾 剛行『ChatGPTと法律実務』弘文堂2023/08/08
AIとリーガルテックがひらく弁護士/法務の未来
弘文堂
AIの技術的制約とリスクを踏まえた、適切な利活用のために
著者 松尾 剛行 著
出版年月日 2023/08/08
判型・ページ数 4-6 並製 ・ 370ページ
定価 2,200円(本体2,000円+税)
内容紹介
2022年11月のローンチ以降、急速に台頭する対話型生成AIの雄、ChatGPT。その圧倒的な利便性から、官公庁・民間企業から教育、クリエーションの現場まであらゆる領域において利活用が試行錯誤されているものの、そのリスクや法的な課題はまだまだ不透明なところが多いのが現状です。個人情報や営業秘密といった機微な情報を取り扱う弁護士業務や企業法務の現場であれば、なおいっそうそのような懸念は大きいことでしょう。著作権などの知財リスクも無視できません。
しかし、2040年代までを見据えれば、多かれ少なかれこのようなAI技術がリーガルテックプロダクトへの組み込みといった形で弁護士業務や企業法務にとって「当たり前」のものになるのは確実であり、今日の段階から適切な「付き合い方」を見極めつつ実践していくことが、法律にかかわるあらゆる職業の生き残りと、さらなる発展の鍵となる――。本書はこのような未来予測をもとに、現段階のChatGPTを、その技術的制約やリスクを踏まえつつ、弁護士や企業法務といった法律業務においてどのように利活用していくべきかを指南。分野の先端をいく実務経験と膨大なAI法研究に裏打ちされた確かな知見がChatGPT時代の羅針盤となる、すべての法律実務者にとって必読の一冊。
コメント
ChatGPTを用いた弁護士の未来について、大変参考になりました。
ただし、以下の疑問点があります。
・ChatGPTを、こなれた使い方ができるまで完成度を高めるべきではないか。
私は、手書き・タイプ時代→ワープロ専用機→ワード・エクセルという技術の進歩を経験しています。
また、使いづらい初歩の判例検索機から、現在の判例データベースという技術の進歩も経験しています。
いずれも、ユーザーにとって、使いやすいかが基準です。
ユーザーは、技術の詳細を知る必要すらありません。
・オープンAI社の免責条項でよしとされているが、約款規制(民法548条の2以下)、信義則・権利濫用(民法1条)、公序良俗違反(民法90条)
が問題にならないか。
・本書p159以下。情報を社内共有する場合、会社自体の民法709条、使用者責任(民法715条)、共同不法行為(民法719条)が問題になるのではないか。
なにより、従業員にだけ個人責任を負わせ、会社が知らん顔というのでは、いかがでしょうか。
目次
第1章 ChatGPTが法律実務にもたらす期待と不安
第2章 ChatGPTの技術的制約を理解する
第3章 ChatGPTにまつわる法律問題
第4章 ChatGPTを最大限に活用するために
第5章 ChatGPT時代のリーガルテック(1)――総論
第6章 ChatGPT時代のリーガルテック(2)――各論
第7章 ChatGPT時代に「生き残る」弁護士・法務担当者とは
第8章 ChatGPT時代の「価値ある」弁護士・法務担当者にむけて
第9章 2040年の弁護士業務
第10章 2040年の企業法務