破産法374条1号にいう債務者が破産財団に属する財産を「債権者ノ不利益ニ処分スルコト」の意義
テーマ:破産法
最高裁判所大法廷判決昭和45年7月1日
破産法違反事件
【判示事項】 1、破産法374条1号にいう債務者が破産財団に属する財産を「債権者ノ不利益ニ処分スルコト」の意義
2、特定の債権者に対する対物弁済または弁済のためにする譲渡は右の「債権者ノ不利益ニ処分スルコト」にあたるか
【判決要旨】 1、破産法374条1号にいう、債権者が破産財団に属する財産を「債権者ノ不利益ニ処分スルコト」とは、たとえば法外の廉売、贈与等のように、「隠匿」「毀棄」にも比すべき債権者全体に絶対的な不利益を及ぼす行為をいうのであって、単に債権者間の公平を破るにすぎない行為は、これにあたらない。
2、特定の債権者に対する弁済は、右の「債権者ノ不利益ニ処分スルコト」にあたらず、特定の債権者に対する対物弁済または弁済のためにする譲渡もまた、債務者が提供した給付がこれに対応する債務と著しく権衝を失する高価なものであると認められるような特段の事由がある場合を除き、これにあたらない。
【参照条文】 破産法374
破産法375
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集24巻7号399頁