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2023年09月19日
民法(債権法)の平成29年改正その1

第1章 はじめに

  平成29年5月26日,民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)が成立しました(同年6月2日公布)。

   民法のうち債権関係の規定(契約等)は,明治29年(1896年)に民法が制定された後,約120年間ほとんど改正がされていませんでした。

今回の改正は,民法のうち債権関係の規定について,取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に,社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに,民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。

今回の民法改正では,契約等に関する基本的なルールについて,合計200項目程度の改正をしています

  今回の改正は,一部の規定を除き,令和2年(2020年)4月1日から施行されました。

※本書では、法令名を次のように記載しています。

民法…2020年4月施行後の民法(明治29年法律第89号)

旧民法…2020年4月施行前の民法(明治29年法律第89号)

第2章 改正の目的

民法のうち債権関係の規定は、1896年に制定されて以降、約120年にもわたって、実質的な改正が行われていませんでした。そのため、社会・経済の変化に対応できていない内容であることが指摘されるに至りました。すなわち、制定以来、多数の判例法理が蓄積され、民法の条文からは解釈することが困難であるルールが実務で定着し、一般の国民には分かりにくいものとなってしまったのです。 そこで、一般の国民にも分かりやすい内容とするために、民法が改正されるに至りました。

改正された対象範囲は、民法のうち、契約に関する規定が中心となります。改正事項は、その性質に応じて、 ①従来の判例・一般的な解釈を明文化したもの ②従来、解釈に争いがあった条項を明文化したもの/従来の条項・判例・一般的な解釈を変更したもの に分けることができます。

このうち、重要な改正ポイントは②です。

すなわち、①は、実質的には、今までと同じ運用となるため、実務には大きな影響はないものと考えられます。そのため、従来の民法を理解されていた方にとっては、あまり気にされなくてもよい改正といえるでしょう。

他方で、②は、実務上、従来とは異なる運用がなされますので、しっかり理解しておく必要があります。

 

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