他人名義で約束手形を振り出した者に手形振出人としての責任が認められた事例
約束手形金請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和43年(オ)第854号
【判決日付】 昭和43年12月12日
【判示事項】 他人名義で約束手形を振り出した者に手形振出人としての責任が認められた事例
【判決要旨】 甲を代表取締役とする会社が手形取引停止処分を受けたため、甲が実兄乙名義で銀行の当座取引口座を設け、その後、半年間に多数回にわたり乙名義を使用して約束手形を振り出しており、乙が経済的な信用や実績のない者であるなど判示の事情のもとにおいては、甲は、右約束手形の振出人としての責任を負う。
【参照条文】 手形法75
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集22巻13号2963頁
手形法
第七条 為替手形ニ手形債務ノ負担ニ付キ行為能力ナキ者ノ署名、偽造ノ署名、仮設人ノ署名又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ為替手形ノ署名者若ハ其ノ本人ニ義務ヲ負ハシムルコト能ハザル署名アル場合ト雖モ他ノ署名者ノ債務ハ之ガ為其ノ効力ヲ妨ゲラルルコトナシ
第七十七条 左ノ事項ニ関スル為替手形ニ付テノ規定ハ約束手形ノ性質ニ反セザル限リ之ヲ約束手形ニ準用ス
一 裏書(第十一条乃至第二十条)
二 満期(第三十三条乃至第三十七条)
三 支払(第三十八条乃至第四十二条)
四 支払拒絶ニ因ル遡求(第四十三条乃至第五十条、第五十二条乃至第五十四条)
五 参加支払(第五十五条、第五十九条乃至第六十三条)
六 謄本(第六十七条及第六十八条)
七 変造(第六十九条)
八 時効(第七十条及第七十一条)
九 休日、期間ノ計算及恩恵日ノ禁止(第七十二条乃至第七十四条)
② 第三者方ニテ又ハ支払人ノ住所地ニ非ザル地ニ於テ支払ヲ為スベキ為替手形(第四条及第二十七条)、利息ノ約定(第五条)、支払金額ニ関スル記載ノ差異(第六条)、第七条ニ規定スル条件ノ下ニ為サレタル署名ノ効果、権限ナクシテ又ハ之ヲ超エテ為シタル者ノ署名ノ効果(第八条)及白地為替手形(第十条)ニ関スル規定モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス
③ 保証ニ関スル規定(第三十条乃至第三十二条)モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス第三十一条末項ノ場合ニ於テ何人ノ為ニ保証ヲ為シタルカヲ表示セザルトキハ約束手形ノ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス