排他条件付取引に公正競争阻害性が否定される余地を生ずる場合
テーマ:独占禁止法
東京高等裁判所判決/昭和56年(行ケ)第196号
【判決日付】 昭和59年2月17日
東洋精米機事件
『昭和59年重要判例解説』経済法事件
審決取消請求事件
【判示事項】 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19条に違反するとして契約の破棄を命じた審決が、認定事実を立証する実質的証拠を欠くとして、取り消された事例
【判決要旨】 いわゆる排他条件付取引が正当な理由がないものとして昭和28年公正取引委員会告示第11号不公正な取引方法七に該当するといい得るためには、それが行為者と競争者との間における公正な競争を阻害するおそれがあると認められることが必要であるところ、右の公正競争阻害性の有無は、排他条件付取引によって行為者と競争関係にある事業者の利用しうる流通経路がどの程度閉鎖的な状態におかれることとなるかによって決定されるべきであり、一般に一定の取引分野において有力な立場にある事業者がその製品について販売業者の中の相当数の者との間で排他条件付取引を行う場合には、その取引には原則的に公正競争阻害性が認められるが、この場合であっても、一定の取引分野の市場構造の特殊性等から、すでに各販売業者が事実上特定の事業者の系列に組み込まれており、その事業者の製品だけしか取り扱わないという実態になっているなどの特段の事情が認められるときは、排他条件付取引に公正競争阻害性が否定される余地を生ずる。
【参照条文】 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律19
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律80
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律82
昭和28年公正取引委員会告示11号不公正な取引方法7
昭和28年公正取引委員会告示11号不公正な取引方法8
【掲載誌】 行政事件裁判例集35巻2号144頁
判例タイムズ517号96頁
金融・商事判例702号27頁