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2023年10月02日
定年後の再雇用・南山大学事件・大学専任教員B

定年後の再雇用・南山大学事件・大学専任教員B

 

 

懲戒処分無効確認等請求控訴,同附帯控訴事件

【事件番号】      名古屋高等裁判所判決/令和元年(ネ)第665号、令和元年(ネ)第794号

【判決日付】      令和2年1月23日

【判示事項】      1 懲戒対象事実①~③に当たる被控訴人兼附帯控訴人(一審原告)Xの行為については,いずれも懲戒事由に該当せず,本件処分は無効であるとした一審判断が維持された例

             2 仮にXの行為が懲戒事由に該当するとしても,情状酌量の余地があるとして,譴責を免じて訓戒に留めるのが相当であったとした一審判断が維持された例

             3 仮に懲戒事由があるとしても,本件処分は,懲戒事由との均衡を欠いた不相当なものであり,無効であるとした一審判断が維持された例

             4 定年後再雇用者について労契法19条2号を類推適用した一審判断が維持された例

             5 Xの再雇用の拒否は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められないから,控訴人兼附帯被控訴人(一審被告)Y法人とXとの間に,定年後も再任用規程に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係が存続しているものとみるのが相当であるとした一審判断が維持された例

             6 再雇用後の給与面での待遇については,定年年齢時の俸給は少なくとも支給され,雇用期間については,Xが満68歳に達する年の年度末までになるものと解されるとした一審判断が維持された例

             7 本件処分および本件再雇用拒否は,全体として,Xの雇用を保持する利益や名誉を侵害するものとして不法行為を構成するとして,慰謝料請求を一部認容した一審判断が維持された例

             8 現時点において,名誉教授の称号授与の可能性の有無を慰謝料額算定の要素として考慮するのは相当でないとされた例

【掲載誌】        労働判例1224号98頁

 

 

労働契約法

(懲戒)

第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

 

(有期労働契約の更新等)

第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 

 

 

       主   文

 

 1 本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却する。

 2 控訴費用は控訴人の,附帯控訴費用は被控訴人の各負担とする。

 

 

 

              懲戒処分無効確認等請求事件

【事件番号】      名古屋地方裁判所判決/平成29年(ワ)第636号

【判決日付】      令和元年7月30日

【判示事項】      私立大学の大学教授の65歳定年後の再雇用に関して,再雇用による雇用継続を期待することに合理性が認められ,大学の再雇用拒否は許されず,定年後も再雇用規程に基づき再雇用されたのと同様の雇用関係が存続しているものと判断した事例

【参照条文】      労働契約法19

【掲載誌】        判例タイムズ1471号106頁

             判例時報2434号100頁

             労働判例1213号18頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法学セミナー65巻3号131頁

             労働法律旬報1964号31頁

             ジュリスト1547号103頁

             法律時報93巻3号131頁

 

       主   文

 

 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

 2 被告は,原告に対し,平成29年4月1日から本判決確定の日又は令和2年3月31日までのいずれか早いほうの時期に至るまでの間,毎月末日限り,月額63万0700円を支払え。

 3 被告は,原告に対し,50万円を支払え。

 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 5 訴訟費用は,これを4分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。

 6 この判決は,第2項及び第3項に限り,仮に執行することができる。

 

 

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