司法試験の科目とされていない科目
・それ以外の科目について(司法試験の科目とされていない科目)
法務省は司法試験の選択科目とするためには、学問として確立していること(受験生から見れば学習範囲が明確であること)、大半の法科大学院で4単位以上であることを目安としている。
司法試験に合格するためには、法科大学院の授業が最低でも8単位は必要であろう。
・社会保障法
行政法と学習範囲が重複するし、法科大学院でも開講している学校も少なく、2単位が多いとされている。
学習範囲があまり明確ではない環境法と比較しても、対象となる法律の範囲は明確である。
もっとも、社会保障法は技術的規定が多く、思考力を問う司法試験にふさわしくないとの指摘もある。
また、新しい分野であり、学問的に確立しているとはいえないのではないかと指摘されている。
ただし、社会保障法は国民全員にとって必須であり、今後の裁判例の展開も見込まれる。
・金融法(金融商品取引法を含む)
金融法は、金融機関(銀行法、信用金庫法、信用組合法、労働金庫法など)、証券(金融商品取引法など)、保険(保険法、保険業法)、信託(信託法、信託業法、投資信託法人法)、不動産特定事業法などを対象とする。
行政法や民事法と学習範囲が重複するし、金融法といっても、金融機関に対する公法上の規制法(銀行法など)、投資関係に関する金融機関に対する民事の損害賠償請求事件など、教授によって講義内容が異なり、学問的に確立しているとはいえないのではないかと指摘されている。
法科大学院でも開講している学校も少なく、2~4単位が多いとされている。
ただし、金融商品取引法は上場企業にとって必須であり、今後の裁判例の展開も見込まれる。
・消費者法
他の科目と比べて分量も範囲が狭く、民事法や行政法と学習範囲が重複するし、法科大学院でも開講している学校は多いが、2単位が多いとされている。
ただし、消費者法は消費者や消費者を相手にする企業にとって必須であり、今後の裁判例の展開も見込まれる。
・国土関係法(不動産法)
行政法や民事法と学習範囲が重複するし、法科大学院でも開講している学校も少なく、2単位が多いとされている。
ただし、建築紛争は専門性の高い訴訟類型であり、また、不動産に関係する法律は裁判所の通常事件でも関係してくるから、今後の裁判例の展開も見込まれる。
・医事法
行政法や民事法と学習範囲が重複するし、医事法といっても、医療機関に対する公法上の規制法(医師法、薬機法など)、医療過誤に対する民事の損害賠償請求事件など、教授によって講義内容が異なり、学問的に確立しているとはいえないのではないかと指摘されている。
法科大学院でも開講している学校も少なく、2単位が多いとされている。
ただし、医療過誤は専門性の高い訴訟類型であり、今後の裁判例の展開も見込まれる。
・事業規制法
行政法や民事法と学習範囲が重複するし、法科大学院でも開講している学校も少なく、2単位が多いとされている。
ただし、個別の業法を全て網羅するのは事実上難しい。
・教育法
行政法や民事法と学習範囲が重複するし、教育機関に対する公法上の規制法、教育機関に対する民事の損害賠償請求事件など、教授によって講義内容が異なり、学問的に確立しているとはいえないのではないかと指摘されている。
法科大学院でも開講している学校も少なく、2単位が多いとされている。