第14章 相殺禁止に関する見直し
相殺禁止に関する見直し
相殺とは、AとBが互いに100万円の債権を有する場合に、一方の意思表示により、互いの債権を消滅させること。
Aが相殺をする場合には、Aの債権を自働債権、相手方Bの債権を受働債権という。
受働債権が不法行為債権である場合の規律の見直し
旧法:不法行為債権を受働債権として相殺をすることは一律禁止(現§509)
(理由 a 不法行為の誘発を防止、b 現実の弁償による被害者保護)
問題の所在
例えば、AとBが双方の過失で交通事故(物損)を起こし、相互に不法行為債権を有している場合に、Bが無資力であっても、Aは相殺できず、自己の債務のみ全額弁済。
相殺禁止の理由に照らして合理的な範囲に限定すべきではないか。
改正法の内容
【参照条文】
第509条 (不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。