ベネッセ刑事事件・不正競争防止法2条6項にいう「営業秘密」の要件である秘密管理性が満たされているとされた事例
不正競争防止法違反被告事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/平成28年(う)第974号
【判決日付】 平成29年3月21日
【判示事項】 不正競争防止法2条6項にいう「営業秘密」の要件である秘密管理性が満たされているとされた事例
【判決要旨】 通信教育等を業とする株式会社甲の情報システムの開発等の業務に従事し,その顧客情報にアクセスする権限を付与されていた被告人が,その顧客情報を領得し,その一部を名簿業者に開示したという不正競争防止法違反の事案において,情報セキュリティ研修の実施状況や上記システムの内容等の事実関係の下では,本件顧客情報が株式会社甲の事業活動に活用される営業戦略上重要な情報であって機密にしなければならない情報であることを容易に認識することができたといえ,一定のアクセス制限の措置が取られていたことを併せ考えると,不正競争防止法2条6項にいう「営業秘密」の要件である秘密管理性は満たされていたということができる。
【掲載誌】 高等裁判所刑事判例集70巻1号10頁
高等裁判所刑事裁判速報集平成29年106頁
東京高等裁判所判決時報刑事68巻74頁
判例タイムズ1443号80頁
労働判例1180号123頁
本判決は,被告人を懲役3年6月及び罰金300万円に処した原判決を量刑不当により破棄し(刑訴法397条1項),懲役2年6月(実刑)及び罰金300万円の刑を言い渡している。
不正競争防止法2条
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。