片倉工業事件・親会社が違法に取得した自己株式を同社から譲り受けた子会社がこれを第三者に処分して損失を被った場合と親会社の取締役が賠償すべき親会社の損害の額
損害賠償請求控訴・同参加事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/平成3年(ネ)第1562号、平成3年(ネ)第1584号、平成5年(ネ)第5311号
【判決日付】 平成6年8月29日
【判示事項】 親会社が違法に取得した自己株式を同社から譲り受けた子会社がこれを第三者に処分して損失を被った場合と親会社の取締役が賠償すべき親会社の損害の額
【判決要旨】 親会社が違法に取得した自己株式を同社から譲り受けた子会社がこれを第三者に処分して損失を被った場合において、子会社の株式の全部を所有する親会社の当該子会社の株式に評価損を生じたときは、親会社の取締役は、親会社の被った損害として、右評価損に相当する額を賠償すべきである。
【参照条文】 商法210
商法266-1
【掲載誌】 金融・商事判例954号14頁
商事法務資料版126号150頁
会社法
(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役
二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役
三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)
4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。