マクドナルド「ダブルチーズバーガーセット」事件と製造物責任法
テーマ:民法
名古屋地方裁判所判決/平成10年(ワ)第2443号
平成11年6月30日
損害賠償請求事件
マクドナルド「ダブルチーズバーガーセット」事件
【判示事項】 1 顧客がファーストフード店で購入したジュースに混入した異物により喉頭部を負傷したことが認められた事例
2 右ジュースの異物を特定することができない場合において右ジュースの欠陥が肯定された事例
3 右自己による右顧客の損害として慰謝料5万円が認められた事例
【判決要旨】 1 ファーストフード店でハンバーガー、ジュース等を購入した顧客が、ジュースを飲んだ直後、ガラスのような破片が喉の上の方に突き刺さる感じがし、吐き気を催したため、食べた物を嘔吐した場合、その直後に同僚に勧められて近隣の診療所に赴き、医師の診察を受けたが、同診療所でも少し血の混じった唾液の塊のようなものを吐いたこと、救急車により病院に搬送され、診療を受けたところ、喉頭の粘膜の下に出血があったものの、ファイバースコープによる胃の検査の結果、異物は発見されなかったこと、ジュースの販売から右顧客の飲食までの間に異物が混入する機会がなかったこと、右顧客の口腔内に異物が存在した可能性がないこと、右フード店のジュースの製造工程において異物が混入する可能性が否定できないこと等の事情の下では、右顧客の受傷は、右ジュースに起因するものであると認めるのが相当である。
2 右事故において、ジュースに飲んだ人の喉に傷害を負わせるような異物が混入していたことは、ジュースが通常有すべき安全性を欠いていたものであり、欠陥を認めるのが相当であり、本件においては異物が混入していたことが明らかである以上、異物の正体が不明であることは右欠陥の認定に影響を及ぼさない。
3 右顧客が右負傷により被った精神的、肉体的な苦痛に対する慰謝料として5万円の損害賠償を認めるのが相当である。
【参照条文】 製造物責任法3
【掲載誌】 金融・商事判例1071号11頁
判例時報1682号106頁
主 文
一 被告は、原告に対し、10万円及びこれに対する平成10年2月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。