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2023年10月06日
青森県十和田市奥入瀬渓流の遊歩道において観光客がブナの枯れ枝の落下により負傷した事故について,国と県の損害賠償責任が認められた事例(控訴審)

青森県十和田市奥入瀬渓流の遊歩道において観光客がブナの枯れ枝の落下により負傷した事故について,国と県の損害賠償責任が認められた事例(控訴審)

 

 

損害賠償請求控訴,附帯控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成18年(ネ)第2721号、平成18年(ネ)第3529号

【判決日付】      平成19年1月17日

【判示事項】      奥入瀬渓流の遊歩道において観光客がブナの枯れ枝の落下により負傷した事故について,国と県の損害賠償責任が認められた事例(控訴審)

【参照条文】      国家賠償法2-1

             民法717-2

【掲載誌】        判例タイムズ1246号122頁

【評釈論文】      環境法研究35号95頁

 

 

国家賠償法

第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

 

 

民法

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。

3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

 

 

       主   文

 

 1 附帯控訴に基づき,原判決中被控訴人花子に関する部分を次のとおり変更する。

 (1)控訴人らは,被控訴人花子に対し,連帯して金1億8974万4243円及びこれに対する平成15年8月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (2)被控訴人花子のその余の請求を棄却する。

 2 本件各控訴をいずれも棄却する。

 3 控訴人らと被控訴人太郎との間の控訴費用は,控訴人らの負担とし,控訴人らと被控訴人花子との間の訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを4分し,その1を同被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。

 4 この判決主文の1項(1)は,本判決が各控訴人に送達された日から14日を経過したときは,仮に執行することができる。ただし,各控訴人が,9500万円の担保を供したときは,当該控訴人は,それぞれ仮執行を免れることができる。

 

       事実及び理由

 

第1 求める裁判

 1 控訴人国(控訴の趣旨)

 (1)原判決中,控訴人国敗訴部分を取り消す。

 (2)被控訴人らの控訴人国に対する請求を棄却する。

 2 控訴人県(控訴の趣旨)

 (1)原判決中,控訴人県敗訴部分を取り消す。

 (2)被控訴人らの控訴人県に対する請求を棄却する。

 3 被控訴人花子(附帯控訴の趣旨)

 (1)原判決中,被控訴人花子に関する部分を,次のとおり変更する。

 (2)控訴人らは,被控訴人花子に対し,連帯して,2億2226万2449円及びこれに対する平成15年8月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

 1 被控訴人花子は,平成15年8月4日,十和田八幡平国立公園の特別保護地区内に属する青森県十和田市(旧上北郡十和田湖町)大字奥瀬字惣辺山国有林51林班内(通称「奥入瀬渓流石ヶ戸」地内。以下「奥入瀬石ヶ戸」という。)の遊歩道付近(付近の概況は,別紙図面〔原判決添付図面と同一〕に図示するとおり)において観光中,突然落下したブナの木の枝の直撃を受け,胸椎脱臼骨折等の傷害を受け,両下肢の機能を全廃する後遺障害を負う事故(以下「本件事故」という。)に遭遇した。被控訴人太郎は,当時,被控訴人花子の内縁の夫であった。本件は,被控訴人らが,控訴人国,控訴人県は,いずれも前記遊歩道の設置管理者であり,前記ブナの木の所有者ないし占有者及び設置管理者であるとの前提で,控訴人らに対し,① 国家賠償法2条(公の営造物の設置,管理の瑕疵),② 同法1条(公務員の管理行為についての注意義務違反),③ 民法717条2項(所有,占有する本件ブナの木の植栽,支持の瑕疵),④ 同法709条(観光客に対する安全確保義務違反),以上①ないし④の責任原因を選択的に主張して,被控訴人花子が被った損害2億2229万8039円,被控訴人太郎が被った損害1100万円とその遅延損害金の賠償を求めた事案である。

 原審は,控訴人県につき国賠法2条の,控訴人国につき民法717条2項の各責任原因を認め,被控訴人らの請求のうち,被控訴人花子について1億4555万5900円とその遅延損害金,被控訴人太郎について330万円とその遅延損害金の各連帯支払を控訴人らに求めた部分を認容し,その余を棄却した。控訴人らは,その敗訴部分の判断を不服として控訴した。被控訴人花子は,その敗訴部分の判断の一部を不服として附帯控訴し,その請求額を2億2226万2449円とその遅延損害金に減縮した。

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