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2023年10月14日
民法(債権法)の平成29年改正その24 第25章 寄託の成立要件の見直し

第25章 寄託の成立要件の見直し

第1節 はじめに

旧法

寄託の合意

改正法

※寄託者は物の交付まで解除可

寄託の合意

※無報酬の受寄者は物の交付まで解除可

 

第2節 当事者の権利・義務

寄託に関する見直し(①当事者の権利・義務)

旧法660条は、寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対する訴えの提起

等をした場合に、受寄者は寄託者に通知する義務を負う旨のみを規定。

 → 受寄者は寄託物を誰に返還すればよいのかなどについて明確なルールを定めるべきではないか。

問題の所在(寄託物に関する権利を主張する第三者との関係)

改正法の内容【新§660】

受寄者は、原則として寄託者に対して寄託物を返還しなければならないと規定。

ただし、受寄者が訴えの提起等を受けたことを寄託者に通知した場合等において、寄託物を第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決等があったときに、その第三者に寄託物を引き渡したときは、例外的に寄託者に対する返還は不要と規定。

問題の所在(損害賠償および費用償還の請求権の期間制限)

寄託物の一部滅失等に関する寄託者の損害賠償請求や受寄者の費用償還請求が寄託物の返還後にされる場合には、一部滅失等が受寄者の保管中に生じたものか否

かについて争いが生ずることがある。

寄託者の保管中に寄託者の損害賠償請求権の消滅時効が完成するのは不合理。

改正法の内容【新§664条の2】

寄託物の一部滅失等による寄託者の損害の賠償および受寄者の費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないと規定。

寄託物の一部滅失等による寄託者の損害賠償請求権については、寄託者が返還を受けた時から1年を経過するまでは、時効の完成を猶予。

 

第3節 特殊な類型の寄託

寄託に関する見直し(②特殊な類型の寄託)

混合寄託とは、 受寄者が複数の寄託者から保管を委託された同一の種類・品質の物を混合して保管し、後に同じ数量を返還する類型の寄託

改正法の内容【新§665条の2】

混合寄託の要件について、各寄託者の承諾が必要であることを明文化。

寄託物の一部が滅失したときは、各寄託者は、受寄者に対し、総寄託物に対する自己の寄託した物の割合に応じた数量の寄託物の返還を請求できるにとどまると規定。

 ※ 併せて、損害賠償請求は妨げられないことを注意的に規定。

混合寄託 消費寄託

消費寄託とは、 受寄者が保管を委託された物そのものではなく、それと種類・品質・数量の同じ物を返還するという寄託。寄託ではなく、消費貸借のルールによる。

改正法の内容【新§666】

消費寄託についても寄託の規定を適用することを原則とする。

寄託物の担保責任については消費貸借の規定を準用。

預貯金については、更に特例を設けて、受寄者による期限前の返還(新§591条2項)を可能にする。

 

 

 

 

 

第26章 公布日・施行日

公布日・施行日

改正の根拠となる法令名は、「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)です。公布日と施行日は次のとおりです。

公布日・施行日

公布日│2017年6月2日

施行日│2020年4月1日

 

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