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2023年10月14日
業界における標準的なパッケージソフトウェアを利用した企業グループ全体の財務・人事・生産・調達・在庫・販売などの主要業務を一元管理する新システムを開発・構築する業務委託契約において、ベンダーである被告にいわゆるプロジェクトマネジメント義務違反の債務不履行があるとして、ユーザーである原告の損害賠償請求が一部認容された事例

業界における標準的なパッケージソフトウェアを利用した企業グループ全体の財務・人事・生産・調達・在庫・販売などの主要業務を一元管理する新システムを開発・構築する業務委託契約において、ベンダーである被告にいわゆるプロジェクトマネジメント義務違反の債務不履行があるとして、ユーザーである原告の損害賠償請求が一部認容された事例

 

トクヤマ・TIS事件

 

 

損害賠償請求、同反訴請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成21年(ワ)第34501号、平成21年(ワ)第43611号

【判決日付】      平成28年4月28日

【判示事項】      業界における標準的なパッケージソフトウェアを利用した企業グループ全体の財務・人事・生産・調達・在庫・販売などの主要業務を一元管理する新システムを開発・構築する業務委託契約において、ベンダーである被告にいわゆるプロジェクトマネジメント義務違反の債務不履行があるとして、ユーザーである原告の損害賠償請求が一部認容された事例

【参照条文】      民法415

             商法512

【掲載誌】        判例時報2313号29頁

 

 

民法

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

 

商法

(報酬請求権)

第五百十二条 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

 

 

 

       主   文

 

 一 被告は、原告に対し、五億四〇三四万〇二九六円及びこれに対する平成二一年一〇月六日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

 二 原告のその余の本訴請求を棄却する。

 三 原告は、被告に対し、二億二三七九万一二二五円及びこれに対する平成二一年一二月五日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

 四 被告のその余の反訴請求を棄却する。

 五 訴訟費用は、本訴反訴を通じ、これを二〇分し、その七を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

 六 この判決は、一項及び三項に限り、仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第一 請求

 (本訴請求)

 被告は、原告に対し、一八億〇一一三万四三二一円及びこれに対する平成二一年一〇月六日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

 (反訴請求)

 原告は、被告に対し、二億三六六一万九四二二円及びこれに対する平成二一年一二月五日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要

 一 事案の要旨

 本件は、①被告との間でシステム開発に係る契約(ただし、その契約の性質、個数には争いがある。)を締結した原告が、被告に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求、又は債務不履行解除に基づく原状回復請求として、一八億〇一一三万四三二一円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成二一年一〇月六日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求め(本訴請求)、また、②被告が、原告に対し、同システム開発に係る上記以外の契約に基づく委託料支払請求、又は商法五一二条に基づく相当報酬額支払請求として、二億三六六一万九四二二円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成二一年一二月五日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める(反訴請求)事案である。

 

 

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