第1章 はじめに
2016年(平成28年)5月24日に,「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第54号。以下「改正法」といいます。)が成立しました。平成28年9月30日(政令第316号)において平成28年12月1日からの施行となりました。
2017年(平成29年)6月16日に成立した「刑法の一部を改正する法律」(平成29年法律第72号(※))による形式的な改正を除けば,改正法によるものが平成最後の刑事訴訟法改正と言うことができます。
改正法は,「時代に即した新たな刑事司法制度の構築」のスローガンのもと,証拠収集手段の適正化・多様化,充実した公判審理の実現を目指して,諸制度を一体として整備したものです。
改正法の施行時期は4段階に分けられていたところ,最終段階である2019年(令和元年)6月1日の到来をもって,その全ての改正内容が施行されました。
令和の時代における刑事手続を正しく理解するためにも,改正法のポイントを再確認しておきたいと思います。