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2023年10月16日
市の道路用地買収過程において買収交渉事務担当の課長が買収交渉の相手方に対し市が買収ずみの道路用地のうち道路敷地に供しない特定の残地を他に優先者のない限り払下げる旨の説明をし右相手方が右残地払下げを期待して当該買収対象土地の売買に応じたがその後の事情によって右相手方に当該残地の払下げがされなかったことが市の不法行為とはならないとされた事例

市の道路用地買収過程において買収交渉事務担当の課長が買収交渉の相手方に対し市が買収ずみの道路用地のうち道路敷地に供しない特定の残地を他に優先者のない限り払下げる旨の説明をし右相手方が右残地払下げを期待して当該買収対象土地の売買に応じたがその後の事情によって右相手方に当該残地の払下げがされなかったことが市の不法行為とはならないとされた事例

 

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和53年(オ)第1436号

【判決日付】      昭和58年12月6日

【判示事項】      市の道路用地買収過程において買収交渉事務担当の課長が買収交渉の相手方に対し市が買収ずみの道路用地のうち道路敷地に供しない特定の残地を他に優先者のない限り払下げる旨の説明をし右相手方が右残地払下げを期待して当該買収対象土地の売買に応じたがその後の事情によって右相手方に当該残地の払下げがされなかったことが市の不法行為とはならないとされた事例

【判決要旨】      市の道路用地買収交渉過程において、買収交渉事務担当の都市計画課長が、買収交渉の相手方に対して、市が買収ずみの土地のうち道路敷地に供しない特定の残地につき、他に優先者のない限り、将来これを右相手方に払下げる、市長の承諾も得ている旨の説明をし、右相手方は右残地の払下げを期待して、当該買収対象土地の売買に応じた場合であっても、右課長には売買契約締結区締結権限はなく、しかも、右課長が道路敷地残地の払下げ特約を売買契約書に明記するようにとの相手方の申出を市議会との関係上できないとしてこれを拒否し、もとより右残地部分の売買予約がされたり、右残地部分の払下げが右買収対象土地の売買の条件とされたものではないなど、判示の事実関係のもとにおいては、その後市が、他の買収対象者からの要望によりその者の所有土地を道路用地として獲得する手段としてこれと右残地とを交換し、右残地を前記売買契約の相手方に払下げなかったとしても、右市の所為は、違法性がなく、不法行為とならない。

【参照条文】      民法1

             民法709

             民法715

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事140号573頁

             判例タイムズ532号125頁

             金融・商事判例710号38頁

             判例時報1123号85頁

 

 

民法

(基本原則)

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(使用者等の責任)

第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

 

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