北海道コカ・コーラボトリング事件
地位保全仮処分命令
【事件番号】 札幌地方裁判所決定/平成9年(ヨ)第219号
【判決日付】 平成9年7月23日
【判示事項】 一 使用者は、業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるが、転居を伴う転勤は労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えることからすれば、使用者の転勤命令は無制約に行使することはできず、これを濫用することは許されないとされた例
二 転勤命令につき、業務上の必要性が存しない場合又は必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき、もしくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情が存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないとされた例
三 債権者への転居を伴う転勤命令につき、配転の業務上の必要性は存するが、債権者会社はその人選を誤っており、また、その長女が躁うつ病、二女が脳炎の後遺症による精神運動発達遅延の状況にあり、かつ両親の体調が不良であるため、家業の農業を事実上面倒をみているという債権者の家庭状況からすれば、本件転勤命令は、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を課するものとして、当該転勤命令が権利の濫用に該当するとされた例
四 債権者が債務者会社帯広工場を勤務場所とする労働契約上の地位の保全が肯定された例
【掲載誌】 労働判例723号62頁
労働経済判例速報1649号16頁
【評釈論文】 労働判例730号6頁
平成十九年法律第百二十八号
労働契約法
(労働契約の内容の変更)
第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。