第3部 消費者契約法の平成30年改正
第12章 はじめに
消費者契約法の平成30年改正平成30年通常国会において消費者契約法の一部を改正する法律が成立しました。
内閣府消費者委員会消費者契約法専門調査会が2017年8月にとりまとめた(第2次)報告書(以下、専門調査会報告書)に基づき、消費者契約法の実体法部分を改正する「消費者契約法の一部を改正する法律」(平成30年法律第54号)については、平成30年3月2日に国会に法案を提出し、同年5月24日に衆議院において修正議決され、同年6月8日に参議院において全会一致で可決され、成立しました。その後、同月15日に平成30年法律第54号として公布されました。
なお、改正法は令和元年6月15日に施行されております。
第13章 消費者契約法改正の経緯
消費者契約法は、平成28年に改正されたものですが(以下「旧法」といいます。)、その際には、「勧誘」要件の在り方、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、平均的な損害の額の立証責任、条項使用者不利の原則、不当条項の類型の追加等、「現時点で法改正を行うことについてコンセンサスが得られていないものについては、今後の検討課題として引き続き検討を行う」とされていました。これを受けて引き続き検討を重ね、平成30年6月8日に、検討課題とされていたもののうち、不利益事実の不告知、困惑類型の追加、不当条項の類型の追加等を内容として「消費者契約法の一部を改正する法律」が成立しました(以下「改正法」といいます。)。今回の改正は、消費者と事業者の交渉力等の格差に鑑み、近時の消費者契約に関する被害事例等を踏まえて行ったものです。