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2023年11月04日
消費者契約法の平成28年・30年改正その14 第16章 人間関係の濫用に関する取消権の創設

第16章 人間関係の濫用に関する取消権の創設(4条3項4号)

(1)社会生活上の経験が乏しいことから、契約の勧誘者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘者も同様の感信するとは、例えば「恋人商法」であれば、勧誘者が今後の交際の実現や進展をにおわせるような思わせぶりな言動を行い、消費者が勧誘者との今後の交際の実現や発展を期待したという状況があれば足ります。

もともと「恋人商法」や「親切商法」の事例では、消費者は勧誘者に好意の感情を抱いていますが、勧誘者のほうは消費者に外観上好意の感情を見せかけているだけで、実際には勧誘行為の一環として消費者に接近しているに過ぎません。

(2)勧誘者との関係が破綻することになる旨を告げるとは、必ずしも「関係が終了する」と直截に告げた場合だけでなく、思わせぶりな言動や表情や所作などから実質的に見て「契約しなかった場合には、現在のような関係は継続できないかもしれない」旨を明示・黙示に示したと評価できれば足ります。

(3)「困惑」とは、合理的な判断ができない心理状態を言い、「事業者の行為で困ってしまう」という心理状態であることを要しません。

4号の規定は、もともと「恋人商法」などの被害事例を救済するための規定です。それらの被害事例は、販売員が思わせぶりな言動や所作などで消費者を「当該契約を締結すれば人間関係を維持・向上できる」といった錯覚ないし幻惑とも言えるような「合理的な判断ができない心理状態」とすることで、消費者に不必要な契約を締結させるものです。前記のような被害事例における消費者の心理状態も「困惑」に包含されると考える必要があります。

(4)具体例

例えば、男性の営業マンと何度か話すうちに好きになり、誘われるままに宝石展示場に行くと、「買わないなら別れる。」と言われて契約を締結したような場合です。

 

例えば、加齢により判断力が著しく低下した消費者の不安を知りつつ、「投資用マンションを持っていなければ現状の生活を送ることは困難です。」と告げられ、高額なマンションを購入したような場合です。

 

(5)恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用

これは、消費者が営業担当者に恋愛感情等を有していることにつけ込んで、商品等を売り込むいわゆるデート商法を主にターゲットとするものです。

 

なお、『消費者法判例百選』(有斐閣、令和2年)38事件の解説も参照。

 

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