被告Y社のシフト表で定める勤務割は,就業規則に定められた各勤務の始業終業時刻,各勤務の組合せの考え方,勤務割表の作成手続きおよび周知方法等に従って作成された各日の勤務割には当たらないから,変形労働時間制を適用する要件を満たさず,臨時社員である原告Xに変形労働時間制が適用されるとのY社の主張は採用しないとされた例
東京地方裁判所判決平成28年9月16日
日本総業事件
未払賃金等請求事件
【判示事項】 1 被告Y社のシフト表で定める勤務割は,就業規則に定められた各勤務の始業終業時刻,各勤務の組合せの考え方,勤務割表の作成手続きおよび周知方法等に従って作成された各日の勤務割には当たらないから,変形労働時間制を適用する要件を満たさず,臨時社員である原告Xに変形労働時間制が適用されるとのY社の主張は採用しないとされた例
2 Xの日給に割増賃金が含まれるとのY社主張が,高知県観光事件(最2小判平6.6.13)を引用した判断に従って否定された例
3 シフト時間前の警備服への着替え,無線機の装着,朝礼への出席について,3菱重工業長崎造船所(1次訴訟・会社側上告)事件(最1小判平12.3.9)を引いて,労働時間該当性が否定された例
4 仮眠時間について,実質的に警備員として相当の対応をすべき義務付けがされていないと認めることができるような事情があるとして,労働時間に当たらないとされた例
5 1時間枠の待機時間について,待機時間中の緊急対応は年に1,2回程度であったこと等から,実作業に従事することは予定されておらず,実質的に警備員として相当の対応をすべき義務付けがされていないと認めることができるような事情があるとして,労働時間には当たらないとされた例
6 付加金支払いの要否および金額は,使用者による労基法違反の程度や態様,労働者が受けた不利益の性質や内容,その違反に至る経緯やその後の使用者の対応などの諸事情を考慮して検討するのが相当であるとしたうえで,割増賃金と同額の51万1333円の支払いが命じられた例
【掲載誌】 労働判例1168号99頁