第22章 消費者の後見等を理由とする契約解除条項の無効(8条の3)
居住用建物の賃貸借契約など一般に利用されている契約書の中には、消費者が成年後見・補佐・補助等の審判を受けたことを契約解除事由と定めているものが少なくありません。
しかしながら、成年後見制度の理念からすると、単に消費者が成年後見等の審判を受けたことの一事をもって事業者が契約を解除できるものとするのは成年後見制度の趣旨に反し不当な条項です。
そこで、改正法は、事業者に対し、消費者が後見、保佐、補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項を無効とするものとしました(改正法8条の3)。
例:「賃借人(消費者)が成年被後見人になった場合、直ちに、賃貸人(事業者)は契約を解除できる」といった契約条項
なお、上記以外の類型の「事業者への解除権付与条項」の法的効力の存否は、今までどおり消費者契約法10条によって判断されます。
なお、『消費者法判例百選』(有斐閣、令和2年)46事件の解説も参照。