第1部 総論
第1章 平成26年改正会社法のポイント
会社法の一部を改正する法律(平成26年法律第90号)
平成27年5月1日施行
平成26年の会社法改正は、会社法が単体の法律として施行された平成18年以来の大きな改正で、これに伴い「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が平成26年6月20日に可決成立し、会社法施行規則、会社計算規則も改正されました。
平成26年の改正の主な目的は、コーポレートガバナンスの強化、親子会社に関する規律の整備などですが、改正内容は多岐にわたり、上場会社に限るものでなく中小企業の経営に重要な影響を与えるものも多く含まれます。
(1)コーポレートガバナンスに関するものとしては、
①社外取締役、社外監査役の資格要件の厳格化
②監査役会設置会社が社外取締役を置かない場、社外取締役を置かない理由の株主総会での説明義務
③監査等委員会設置会社の新設
④監査等委員会設置会社の新設により「委員会設置会社」の「指名委員会等設置会社」への名称変更
⑤会計監査人の独立性強化(会計監査人の選解任等の議案を取締役又は取締役会から監査役又は監査役会が提出へ変更)
⑥株式の過半数を有する株主の異動を伴う第三者割当増資に対する規制
などがあり、
(2)親子会社に関する規律の整備に関するものとしては、
①多重代表訴訟(完全親会社の1%以上の議決権を持つ株主は完全子会社の取締役等に株主代表訴訟が提起できる)
②一定の子会社株式の譲渡に親会社の株主総会特別決議を要求
③90%以上の議決権を持つ株主が少数株主の株式を全て売り渡し請求できる制度の新設
④組織再編行為の事前差止請求
⑤債権者を害する会社分割、事業譲渡に対する規制
⑥グループ内の内部統制システムに関する規定が会社法施行規則から会社法で規定へ
などがあります。
(3)その他の改正内容としては、
①責任限定契約を締結できる取締役・監査役の範囲の拡大
②株式買取請求時の株式対価の公正価格での会社の事前支払い
③監査役の監査を会計監査に限定している場合の登記義務
④web開示のみなし提供対象を株主資本等変動計算書にも適用
などがあります。