第4章 社外取締役
社外役員の設置に関する事項の内容が追加されました。社外取締役を置いていない場合、社外取締役を置くことが相当でない理由等を事業報告に記載することになります。
(1) 社外取締役の機能の活用
取締役会の業務執行者に対する監督機能を強化するために,社外取締役をより積極的に活用すべきであるとの指摘が強くされていたことを受け,次の3つの改正がされました。
大企業における社外取締役の選任を促進するため、社外取締役を選任しない企業に、株主総会でその理由を説明することを義務づけるとともに、社外取締役の要件を厳格化して、取締役の2親等以内の親族や親会社の取締役等を、その要件から除外した。
(1) 社外取締役を置いていない場合の理由の開示
事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であってその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない。(第327条の2関係)
(2) 社外取締役及び社外監査役の要件の厳格化
① 社外取締役の要件(第2条第15号関係)
ア 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人(業務執行取締役等)でなく、かつ、その就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
イ その就任の前10年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ウ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
エ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
オ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は2親等内の親族でないこと。
② 社外監査役の要件(第2条第16号関係)
ア その就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
イ その就任の前10年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
ウ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
エ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
オ 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は2親等内の親族でないこと。
(3) 取締役及び監査役の責任の一部免除
① 代表取締役以外の取締役の最低責任限度額について、業務執行取締役等であるかどうかで区別する。(第425条第1項関係)
② 取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)又は監査役は、社外取締役又は社外監査役でないものであっても、責任限定契約を締結することができる。(第427条第1項関係)