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2023年11月27日
日立製作所事件・退職勧奨・降格

日立製作所事件・退職勧奨・降格

 

 

損害賠償等請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成31年(ワ)第5773号

【判決日付】      令和3年12月21日

【判示事項】      1 退職勧奨が社会通念上相当とは認められないほどの執拗さで行われるなど,労働者に不当な心理的圧力を加える態様で行われたり,名誉感情を不当に害する言辞を用いて行われた場合には不法行為を構成するとされた例

             2 本件研修で使用された資料によれば,参加者らが管理職に値しない成果しか挙げておらず,被告Y社グループ内で新たな業務に就くことは極めて難しく,転職に活路を見出してほしいとされており,原告Xら参加者が精神的衝撃を受けたことは想像に難くないものの,資料の中でXらの名誉感情を不当に害する表現が用いられているわけではないこと等に照らすと,本件研修の違法性は認められないとされた例

             3 退職を一度断った者に再度退職を促す場合についても,それが社会通念上相当とは認められないほどの執拗さで行われるなど,労働者に不当な心理的圧力を加え,その自由な退職意思の形成を妨げた場合に初めて違法と評価されるべきところ,本件研修後の面談の中でのB部長の言動やXがその後に受講を命じられた本件フォローアップ研修は,いずれもその内容や態様に照らし,Xの自由な意思形成を妨げるものとは認めがたいとされた例

             4 Y社の就業規則には昇格や降格に関する規定があり,また,昇格や降格によって職群等級や職種が変更された場合には本給の額も変動する仕組みが規定されていたため,Y社は労働契約に基づく人事権の行使として労働者を降格させることができ,これに伴い,労働者の個別的同意がなくても賃金を引き下げる権限を有しているとされた例

             5 降格・減給について,①業務上の必要性がない場合や②それが他の不当な動機・目的を持ってされたものであるとき,または③労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときなど特段の事情がある場合には,当該降格・減給は人事権の濫用として無効となるとされた例

             6 ①本件降格前の1年9か月間,Xには売上げ実績がまったくなく,管理職に期待される所属部署への貢献を十分に果たしていなかったこと等に照らすと,本件降格には業務上の必要性があり,②不当な動機・目的は認められず,③本件降格後,Xの本給が減額されているものの,Xが非管理職となったために管理職には支給されない裁量労働勤務手当を受給するようになったことからすれば,本件降格および減給が,Xに通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるともいえないとされた例

【掲載誌】        労働判例1266号56頁

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