第12章 株主代表訴訟の原告適格の拡大等
(1) 旧株主による責任追及等の訴え
① 株式交換等の効力が生じた日の6箇月前から当該日まで引き続き株式会社の株主であった者(旧株主)は、当該株式会社の株主でなくなった場合であっても、株式交換等により完全親会社の株式を取得し、引き続き当該株式を有するときは、責任追及等の訴え(当該株式交換等の効力が生じた時までにその原因となった事実が生じた責任又は義務に係るものに限る。)の提起を請求することができる。(第847条の2第1項・第3項~第5項関係)
② 公開会社でない株式会社における①についての規定の適用、旧株主による責任追及等の訴えの提起及び不提訴理由の通知について、第847条第2項から第5項までに相当する規定を置く。(第847条の2第2項・第6項~第8項関係)
③ 適格旧株主(①の請求をすることができることとなる旧株主をいう。)がある場合において、①の責任又は義務を免除するときにおける規定を設ける。(第847条の2第9項関係)
(2) 最終完全親会社等の株主による責任追及の訴え
① 6箇月前から引き続き株式会社の最終完全親会社等(当該株式会社の完全親会社等であって、その完全親会社等がないものをいう。)の総株主の議決権の100分の1以上の議決権等を有する株主は、当該株式会社に対し、特定責任に係る責任追及等の訴え(特定責任追及の訴え)の提起を請求することができる。(第847条の3第1項~第3項関係)
② ①の「特定責任」とは、当該株式会社の発起人等(発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等又は清算人をいう。)の責任の原因となった事実が生じた日において当該株式会社の株式の帳簿価額が当該最終完全親会社等の総資産額の5分の1を超える場合における当該発起人等の責任をいう。(第847条の3第4項関係)
③ 公開会社でない最終完全親会社等における①についての規定の適用、最終完全親会社等の株主による特定責任追及の訴えの提起及び不提訴理由の通知について、第847条第2項から第5項までに相当する規定を置く。(第847条の3第6項~第9項関係)
④ 株式会社に最終完全親会社等がある場合において、特定責任を免除するときにおける規定を設ける。(第847条の3第10項関係)
(3) (1)①の完全親会社等又は最終完全親会社等による責任追及等の訴えの提起等におけるこれらの会社の代表
① (1)①の完全親会社等又は最終完全親会社等である監査役設置会社が一定の責任追及等の訴えを提起する場合等には、監査役が監査役設置会社を代表する。(第386条関係)
② 監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社についても、①と同様の規定を設ける。(第399条の7、第408条関係)
(4) 適格旧株主等の権利の行使に関する利益の供与の禁止
株式会社は、何人に対しても、適格旧株主の権利又は最終完全親会社等の株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない。(第120条第1項、第968条第1項、第970条第1項・第3項関係)